研究課題/領域番号 |
10470076
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
酒井 博幸 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (80281731)
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研究分担者 |
石本 秋稔 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (50073127)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
1999年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
1998年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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キーワード | パピローマウイルス / ウイルス発がん / 子宮頸癌 / ウイルス複製 / 子宮頚癌 / HPV / テロメレース / 転写因子 |
研究概要 |
(1)皮膚モデル培養系は皮膚の三次元的な分化を再現することが可能であり、HPVの複製を支持することの出来る細胞培養系として非常にユニークなものである。その系においてウイルスの遺伝子産物、特にE6とE7を中心に、それらが細胞分化や増殖に及ぼす影響を検討している。E6/E7の発現によりヒトケラチノサイトの細胞寿命は延長され、この細胞を利用して三次元培養系を構築すると未分化状態の細胞の過増殖が認められる。また通常DNA合成は基底部の細胞に限局しているが、ここではより幅広い領域でDNA合成が観察された。一方いわゆる「不死化」状態になる以前にこのE6/E7発現細胞を三次元培養に適用するとほぼ正常な分化像が観察された。このことはE6/E7の発現による細胞分化の変調はE6/E7の直接の作用ではなく、その延命効果を介した二次的なものである可能性を示唆している。 (2)HPVoriを含むDNAの複製能は、その遺伝子発現活性と相関しうることを示した。この二つの機能の相関はHPVのE2によって媒介されており、その作用機構としてE2のDNA結合性がその転写活性化能によって調節されていることが考えられた。これはケラチノサイトの分化に伴って遺伝子発現の上昇が認められ、その際劇的にウイルスDNAのコピー数が増大する機構を反映している可能性がある。 (3)HPVによって癌化した細胞ではE6/EE7の発現が認められるが、BPV1およびハイリスク型のHPVのE2の発現によってその転写は抑制される。HeLa細胞ではE2遺伝子の導入によって細胞の増殖が抑制されることが知られており、癌化細胞の増殖性維持にE6/E7の発現が重要であることが示唆された。HeLa細胞では恒常的にテロメラーゼ活性が高レベルで検出されるが、E2の導入によってその活性が抑制されることがわかった。このテロメラーゼの活性調節にもE6/E7が関与しており、現在その詳細な機構の解析を進めている。
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