研究課題/領域番号 |
10470094
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
日下 幸則 福井医科大学, 医学部, 教授 (70135680)
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研究分担者 |
長澤 澄雄 福井医科大学, 医学部, 助手 (80293413)
佐藤 一博 福井医科大学, 医学部, 講師 (40262620)
福田 優 福井医科大学, 医学部, 教授 (60079720)
菅沼 成文 福井医科大学, 医学部, 助手 (50313747)
吉田 康弘 福井医科大学, 医学部, 助手 (00303371)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
2000年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1998年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | ニッケル / コバルト / アポトーシス / 線維化 / 活性酸素 / 炎症 / TNF-α / DNA損傷 / 肺炎 / 肺毒性 / 発ガン / ラット / 亜硝酸 / DNA / 組織障害 |
研究概要 |
喘息や肺炎などのアレルギー性呼吸器疾患の一因に、ニッケルやコバルトなどの感作性金属がある。これらは、肺線維症、肺癌の起因物質でもあり、発症には個体の感受性も示唆されている。 そこで、その動物モデルとして、超微細なニッケル、コバルト金属粉末の経気道的な一回投与により、持続的肺炎を主体とする金属肺(ニッケル肺、コバルト肺)をラットにおいて作成した。その持続性炎症の結果、早くも投与1ヶ月後に於いて、肺の線維化が進行していることを、病理学的に確認した。 回収した肺胞洗浄液中の細胞を培養し、その上清中に存在する亜硝酸濃度を計った。すると、投与したニッケルの量に比例して、亜硝酸が生成されていることがわかった。かつ、プラスミドDNAアッセイにてDNA損傷が認められた。以上から、ニッケル、コバルトは、活性酸素、特にNOを介して、DNAを含む組織を障害することが示唆された。 同時に、肺胞洗浄液中に、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)が、多く遊離されていることがわかった。さらに、ニッケル肺において、コバルト肺よりも多かった。従って、TNF-αの高値なることが、重度な炎症を起こさしめ、かつ持続させることが示唆された。直接の実験事実は未だ得ていないが、TNF-αが、活性酸素の算出に関わる遺伝子の発現を促すのであろう。そして、活性酸素がさらに組織やDNAの損傷をもたらすものと推測される。 アポトーシスに関しては、それを引き起こすBcl-2蛋白表現は、肺のマクロファージ、肺上皮細胞で起きており、従って、コバルト、ニッケルの強い毒性、肺線維化能は、肺のマクロファージおよび間質細胞内で強いBcl-2蛋白表現と関連あることが示唆された。発ガンの機序にまでは至らなかったものの、これら金属の肺毒性が分子生物学的に明らかにされた。
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