研究課題/領域番号 |
10470119
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
法医学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
石津 日出雄 岡山大学, 医学部, 教授 (70033157)
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研究分担者 |
北尾 孝司 愛媛県立医療技術短期大学, 臨床検査学科, 助手 (60218047)
山本 雄二 岡山大学, 医学部, 講師 (30136379)
宮石 智 岡山大学, 医学部, 助教授 (90239343)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
11,600千円 (直接経費: 11,600千円)
2000年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1999年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
1998年度: 5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
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キーワード | トロポニンT / ミオグロビン / クレアチン / 横紋筋 / 脳脊髄液 / 硝子体液 / 脳背髄液 / ミオシン軽鎖I / CPK-MMアイソフォーム / トロポニンI |
研究概要 |
15例の剖検例について心筋中及び全身19箇所の骨格筋中の筋由来物質含有量を調べた。心筋では、心筋特異的トロポニンT(TnT)含有量は事例によるばらつきがあり、また当該事例の心臓血中濃度との間に相関はなかった。心筋中ミオグロビン(Mb)含有量も事例による差を認めた。また、これら15例について骨格筋に含まれる筋肉由来の各種蛋白やその他の物質の含有量も、事例により差が認められたほか、同一事例における骨格筋の部位による違いも、認められる場合と認められない場合とがあった。従って、筋由来物質の筋肉内含有量を死因診断、死後経過時間推定、年齢推定などに結びつけることは困難であった。血液中筋由来物質含有量を血液の部位別に検討すると、心筋特異的なTnTやトロポニンI(TnI)は、心臓血、大血管血、末梢血管血の順に、また右心系(静脈系)より左心系(動脈系)で含有量が多かった。これに対し心筋より骨格筋に含有量の多いCPKやクレアチンではこの傾向は逆となった。また、肝臓に多量に含まれるGOTやGPTは心臓血や末梢血より大血管血で活性が高かった。これらの結果は、血液の死後循環、筋肉からの物質の死後洩出メカニズム、中毒事例における薬物の死後拡散を考える上で示唆に富むものと思われた。しかし血中Mb濃度は、心臓血、末梢血管血、大血管血の順で高いという独特の特徴を示し、このメカニズムや意義については解明は今後の課題となった。また心臓血中の心筋特異的なTnTやTnI濃度は、溺死事例では左心血より右心血で高濃度である傾向が認められた。これは溺死の補助診断として有意義と考えられたが、そのメカニズムについては今回の研究では解明できなかった。血液以外の体液では、脳脊髄液や硝子体中クレアチン濃度が死後の時間経過とともに上昇し、心嚢液中クレアチニン濃度もまた死後経過時間と正の相関があった。従ってこれらのパラメーターは死後経過時間推定に役立つものと思われた。筋組織由来蛋白のうち、特にMbについて遺伝子分析の法医診断への応用を試みたところ、第2エクソンにおけるSNPが個人識別や親子鑑定への応用が考えられたほか、第3エクソンにおけるヒト特異的塩基配列の検出が人獣鑑別に有用であった。
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