研究課題/領域番号 |
10470150
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
貫和 敏博 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (40129036)
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研究分担者 |
海老名 雅仁 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (10280885)
萩原 弘一 東北大学, 加齢医学研究所, 講師 (00240705)
阿部 達也 東北大学, 加齢医学研究所, 講師 (70222651)
宮崎 純一 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10200156)
三木 誠 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (30312656)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
13,100千円 (直接経費: 13,100千円)
1999年度: 7,300千円 (直接経費: 7,300千円)
1998年度: 5,800千円 (直接経費: 5,800千円)
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キーワード | 蛋白分解酵素阻害物質 / SLPI / elafin / targeting / 気道防御機構 / WAPモチーフ / mouse EST database / 多重SS架橋構造 / 気道防御 |
研究概要 |
分泌型蛋白分解酵素阻害物質(secretory leukoprotease inhibitor : SLPI)は、気道上皮、生殖器上皮等より産生される阻害物質として見いだされたが、その構造はWAP (whey acidic protein) motifと呼ばれる特徴的な多重SS架橋構造を持つ一群の物質群に属する。本研究は気道における蛋白分解酵素阻害物質でWAP motifを持つSLPIとelafinを取り上げ、その生理作用を解析すべく、マウスSLPI、elafin遺伝子のクローニングとその構造解明、さらには遺伝子targetingをすすめることが目的である。先ずヒト、ブタSLPI遺伝子塩基配列相同性を利用して、マウスSLPIcDNAをクローニングし、細菌感染におけるSLPI遺伝子発現亢進を確認した。さらにその発現はin situ hybridizationによって気道上皮細胞に発現されるとともに、肺炎病巣における血球免疫系細胞においても発現することを見いだし、加えて脾臓においてもgerminal centerに発現亢進する事を発見した。またヒトrSLPIは肺由来線維芽細胞のHGF発現を亢進する事実も確認し、SLPI作用の新たな地平を開いた。マウス染色体SLPI遺伝子をクローニングし、ヒトとの相同性、各々の染色体上位置を同定するとともにpromoter構造を解析した。この情報に従ってマウスSLPI遺伝子のexonをtargetingするplasmidを作成し、ES細胞に導入、SLPI+/-のchimeraマウスを産出し、SLPI-/-マウスの生存可能性を確認して、8世代戻し交配中であり、その表現型解祈にすすめる。一方elafin遺伝子に関しては、種間相同性による方法が機能せず、マウスEST databaseのWAP motif検索より該当するELM1、ELM2遺伝子のfull length cDNAを5'RACE法で決定し、また各々のゲノム遺伝子構造を同定した。ELM1遺伝子は腎臓で強く発現しているが、気道細菌感染においてもSLPI同様、感染後経時的に発現が増強する知見を得た。ELM2はnorthern blottingでは発現が確認できなかった。SLPIやelafinは多重ジスルフィド架橋ペプチドとして、広くは抗菌ペプチドdefensinなどとともに、進化的に古いinnate immunityの機構として注目されつつある。本研究は気道におけるかかる特異構造物質の生理的意義を解明する契機となる研究と考えられる。
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