研究概要 |
【目的】WHO/世界心臓連盟の国際共同研究として22例の心筋炎または拡張型心筋症(DCM)の心筋標本を用いてウイルスゲノムの検索を行い、6例(27%)のC型肝炎ウイルス(HCV)を検出し、検出頻度はHCVが最も高かった。ホルマリン固定、パラフィン切片からのHCVゲノムの検出法を確立し、1973-1997年の心筋症、心筋炎系106例の剖検心および対照群として心筋梗塞35例、非心臓疾患C型肝炎ウイルス20例の計55例を用いてHCVゲノムの検出を行った。β-アクチン陽性例のうち心筋炎では12例中4例(33.3%、対照群0%、p=0.02)、DCMでは26例中3例(11.5%、P=0.27)、肥大型心筋症(HCM)では23例中6例(26.0%、P=0.03)、とHCVゲノムを高率に検出した。また、ユタ大学との共同研究において1985-1997年のDCMの剖検心103例中β-アクチンmRNAを38例に認め、このうち、9例(23.7%)にHCVゲノムを検出した。これらのPCR産物の塩基配列はHCVの標準株と90%以上のホモロジーがあり、剖検心から検出されたRNAはHCV由来のものであることが確認された。HCV心筋症とHLA遺伝子との関連を明らかにするため、HCV感染を伴うDCM(n=19)ではHLA-A11,B67,DPB1^*0901,HCM(n=12)ではHLA-DB1^*0407,DRB1^*0901,DQB1^*0303と関連することが明らかとなり、宿主の免疫応答性が臨床病型に影響する可能性が示唆されている。
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