研究課題/領域番号 |
10470206
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
齋藤 政樹 国立がんセンター研究所, ウイルス部, 部長 (60012762)
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研究分担者 |
堺 隆一 国立がんセンター研究所, ウイルス部, 室長 (40215603)
松田 和洋 国立がんセンター研究所, ウイルス部, 主任研究官 (80251502)
石井 睦 国立がんセンター研究所, ウイルス部, 室長 (20232225)
浜中 裕一郎 (濱中 裕一郎) 国立がんセンター研究所, ウイルス部, 主任研究官 (40189618)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
12,600千円 (直接経費: 12,600千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1998年度: 8,300千円 (直接経費: 8,300千円)
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キーワード | シアロスフィンゴ糖脂質 / ガングリオシドGM3合成酵素 / cDNAクローニング / ゲノム構造 / 遺伝子ノックアウト / プロモーター領域 / 酵素蛋白立体構造 / シス因子 / シアル酸転移酵素 / ルシフェラーゼ活性 / GM3合成酵素欠損マウス / TATA・CAAT配列 / シアリルモチーフ / Sp1結合部位 / プロモーター活性 / 5'-RACE法 / N結合型糖鎖 / ガングリオシドGD3合成酵素 / 遺伝子ノックアウト細胞 / ガングリオシドGM3 / シアル酸転移酵素-1 / シアリルモティーフ / II型膜蛋白質 / 特異的アミノ酸置換 / 遺伝子改変 / 転写調節 |
研究概要 |
本研究課題において以下の研究項目を推進した:(1)国際的に初めてクローニングに成功したヒトGM3合成酵素遺伝子cDNAの情報に基づき、ヒト染色体DNA BACライブラリーをスクリーニングしゲノミッククローンを単離、遺伝子構造を決定した。本遺伝子は約54kbpの長さを示し、112-1,242bpの大きさを示す7つのエクソンと6つのイントロンから構成されていた。5'RACE法により、ヒト遺伝子はマウス遺伝子と異なり、5'末端の違いによる転写物多形は存在しないことが判明した。FISH解析で、本遺伝子は2番染色体短腕の中心体近傍(2p11.2)に存在することが判明した。(2)GM3合成酵素遺伝子は量的差はあるものの、ほぼ全ての組織においてmRNA発現が認められた。ヒトでは脳・骨格筋・精巣で高発現を、腎・大腸で低発現を示した。段階的欠失変異クローンを作製しプロモーター活性を測定した。HCT116(大腸癌)細胞では全欠失変異体を通じて転写活性は低かったが、SK-N-MC(ニューロブラストーマ)・K-562(白血病細胞)細胞では欠失箇所に応じたプロモーター活性を示し、nt-1926〜-1457と-285〜+75の2領域に正の転写調節に働くシス因子が存在することが示唆された。転写開始点近傍(-285〜+75)には、TATA配列は存在せず、GC含量は82%に達し、3ケ所のSp1、それぞれ1ケ所のTCF11・AP-2・NFY・Egr-3結合部位が存在する。転写開始点から2番目のSp1部位が正の転写調節に特に重要で、転写開始点近傍(-101〜+75)域に最小プロモーター活性があることが明らかになった。(3)マウス酵素cDNAはnt235-1311に359アミノ酸からなる分子量41.2kDaの糖蛋白をコードし得る領域を持ち、ヒト酵素と核酸レベルで85.0%、アミノ酸レベルで86.4%の相同性を示した。本酵素は種並びに組織特異的発現を示し、マウス酵素の発現は脳・肝・精巣などで高い。マウス酵素遺伝子は5'側構造が異なる3種類の転写産物、B1型、B2型、L型として発現されるが、それらの転写産物は同一蛋白質をコードしていることが判明した。B1型は組織特異性はあるが、全組織に発現が認められた。B2型の発現は全組織を通じて低かった。L型は肝臓のみで発現が認められた。マウス酵素遺伝子は112-1,172bpの大きさを示す9個のエクソンから成る約58kbpの遺伝子であった。エクソン1-b1,1-b2,1-1は5'-非翻訳領域を、エクソン2は推定翻訳開始点と短いN末端細胞質ドメインを、エクソン3は柄領域を、続くエクソンは触媒ドメインを含んでいた。本酵素遺伝子の基本構造はヒトとマウスで酷似していた。FISH解析によりマウス遺伝子は6番染色体C領域に存在し、他のシアル酸転移酵素遺伝子とは異なった染色体上の位置を示した。このマウス遺伝子の染色体上の位置はヒトホモローグと保存されたシンテニーを示す。(4)本遺伝子ノックアウトはガングリオシドの生体機能を解析する上で貴重な情報をもたらす。翻訳開始点と短いN末端細胞質ドメインをコードしているエクソン2を含む領域をネオマイシン耐性遺伝子に置換したターゲッティングベクターを作製し、マウス129/SVJ系のES細胞にエレクトロポレーション法で導入した。ネオマイシン耐性クローンを選別し、相同組換えクローンを取得した。さらにキメラマウスを作出し、最近、ヘテロマウスの作出に成功した。(5)様々な生物活性を有する糖鎖を酵素的に自動合成するための糖鎖自動合成機作製のための部分プロジェクトとして、またGM3合成酵素蛋白の立体構造解明のため、大腸菌を宿主細胞として可溶型酵素蛋白(MBPとの融合蛋白)の産出を試み、最近成功した。現在、大量発現系の樹立を目指している。
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