研究分担者 |
田中 一郎 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00201616)
杉本 充彦 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80192128)
高橋 幸博 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (60142379)
高宮 脩 信州大学, 医療短期大学部, 教授 (50216785)
中 宏之 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (40281761)
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研究概要 |
小児例を含むthrombophiliaの実態を把握する目的でアンケート調査を案施した。一次調査(症例の有無)は全送付1,319施設中806施設(回答率61.1%)から回答があった。AT欠乏症137家系/190症例(うち小児例15),PC欠乏症146/182(27),PS欠乏症62/84(16),HC-II欠乏症2/3(0),プラスミノゲン異常症65/65+α(7),フィブリノゲン異常症47/57(13),その他16/20(4)の計475家系/601症例(小児例82)であった。詳細な二次調査(回収率43.9%)で全小児例82例のうち小児期血栓症発症21例(AT4,PC10,PS7)と未発症15例(AT3,PC4,PS8)の回答があった。発症例の男女比は11:10。初発年歳は新生児期(すべてホモ.接合体)〜20歳と分布した。主な症状は下腿静脈血栓症,肺梗塞,脳梗塞などであった。検査値は活性と抗原とも約半量(type Iヘテロ接合体)が圧倒的に多く、ホモ接合体3例では活性値は著減していた。8例で遺伝子解析が施行されていた。初発時の治療は種々の製剤・薬物で行われ、診断確定後の予防は大部方がワルファリンにより行われ、PT-INRand/orトロンボテストでモニターされていた。わが国の小児thrombophiliaの実態のあらましが明らかとなったが、小児発症例はもちろん未発症例のフォローが大切である。この他、小児thrombophilia(PCホモ、PSヘテロ各1例期)自験例について遺伝子解析を行った。PC欠乏症に対する血漿由来活性化PC製(CTC-111)の生体内代謝と治療効果を多施設共同研究にて実施した。また、肺梗塞の1例に本剤を投与し、救命した。日本人を含む東洋人にはAPCレジスタンス(FVLeiden)がほとんど存在しないことを示した。また、Upshaw-Schulman症候群8家系11例を集積し、全例でvWF-CPaseが低下(<3%)していることを示した。
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