研究課題/領域番号 |
10470218
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
腎臓内科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
檜垣 實男 (檜垣 実男) 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (70189744)
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研究分担者 |
守口 篤 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10273666)
松本 邦夫 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90201780)
金田 安史 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10177537)
森下 竜一 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (40291439)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
2000年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1999年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | 糸球体腎炎 / HVJ-リポソーム法 / デコイ / ターゲェティング / Immunoliposome / 遺伝子治療 / E2F / NFκB / immunoliposome / アンチセンス |
研究概要 |
近年開発された遺伝子導入法HVJ-リポソーム法を用いて我々は腎臓特に糸球体への効率の良い遺伝子導入の成果を報告してきた(Tomita N et al.BBRC 1992)。本法は導入しようとする遺伝子を脂質(リポソーム)の膜内に封入後、不活化したHVJ(Sendai Virus)をリポソームと融合させて、HVJのもつ膜融合能を利用し、高効率に遺伝子導入をさせるものである。また、導入方法としては経血管的にアプローチする必要があった。それにより導入効率を上昇させることができることも我々は報告している。また、我々は遺伝子導入だけでなく、本法のオリゴ導入法としての有効性についても早くより検討し、腎臓においては市販されているリポソームを用いた場合にはほとんどが尿細管に取り込まれるが、本法を用いた場合には糸球体へのオリゴの導入にはかなり有効であることが判明した。既に我々はThy1腎炎に対してはデコイと呼ばれるオリゴを基本にした新しい方法で、細胞周期の進展阻害をE2Fデコイにより行い、遺伝子治療効果も報告した(Tomita N et al.JASN 1995)。また炎症性のサイトカインによるとされている腎炎モデルに対してもNFκBデコイを用いた遺伝子治療の成果を報告した(Tomita N et al.JASN 2000)。また、その他のモデルに対しても同様にデコイによる遺伝子治療効果を確認し、既に報告している(Tomita N et al.Exp Nephrol 1997,Tomita N et al.Gene Ther 2000)。以上の様に本研究では腎疾患に対する遺伝子治療に取り組み、その導入方法としては熟練した技術を有している。また、デコイ法と遺伝子導入を組み合わせた遺伝子治療では心筋梗塞やPTCA後再狭窄にも応用し、その成功例も報告している(Morishita R et al.Nat Med 1997,Morishita R et al.PNAS 1995)。本研究では国内で発見された肝細胞増殖因子(HGF)が尿細管保護作用があることも我々は見い出した(Yo Y et al.Kidney Int 1998)。さらに、腎臓特に腎糸球体細胞を特異的にtargetingできる遺伝子導入法の確立にも成功した(ASN 2000)。具体的には腎臓にのみ発現する蛋白を認識できる抗体や受容体をリポソームに組み込み、その後、HVJを反応させ、新しいタイプのimmunoliposomeを作成した。本リポソームを応用し、抹消からのNFκBデコイを投与し、腎炎モデルでの病態進展を抑制した(ASN 2000)。以上本研究においては動物実験のレベルではあるが、腎臓への遺伝子導入方法を確立し、それを応用したデコイ法とよばれる新しい遺伝子治療のストラテジーの開発に成功した。これらの結果をもとに今後大動物での実験がおこなわれ、そのステップの後臨床応用されることを期待する。
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