研究課題/領域番号 |
10470227
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
内分泌学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 裕 京都大学, 医学研究科, 助手 (40252457)
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研究分担者 |
細田 公則 京都大学, 人間・環境学研究科, 助手 (40271598)
梅村 和夫 浜松医科大学, 医学部, 教授 (40232912)
小川 峰太郎 京都大学, 医学研究科, 助手 (70194454)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
1999年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1998年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
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キーワード | 内皮細胞 / 血管平滑筋細胞 / ナトリウム利尿ペプチド / ES細胞 / 動脈硬化症 / VEGF / トランスジェニックマウス / アデノウィルス / cGMP / 前駆細胞 |
研究概要 |
増殖性血管病変は、内皮細胞の機能破綻とそれに基づく血管平滑筋細胞の脱分化による遊走・増殖等によりもたらされる。従って、内皮細胞の機能分化の分子レベルでの解明は、内皮機能異常のメカニズムの理解に直結し、更に血管機能再生治療への応用につながる。本研究では、我々がこれまで一貫して研究してきたナトリウム利尿ペプチド系を中心に血管局所ホルモンに焦点を当て、その内皮再生分化における病態生理的意義に関し、特に発生学的手法を駆使して検討した。 1.血管内皮増殖因子(Vascular Endothelial Growth Factor;VEGF)のヒト動脈硬化病変における発現とその機序の検討:これまで我々はVEGFが血管局所ホルモンであるCNP、エンドセリン分泌制御作用を有することを明らかにした。今回、免疫組織化学的検討により、ヒト冠動脈硬化病変において、病期の進展に伴い活性化した内皮細胞、及びプラーク内新生血管の内皮細胞においてVEGF発現が強く誘導されることを明らかにした。また、脱分化した血管平滑筋細胞やプラークに集簇するマクロファージにおいてVEGFの強い発現を認めた。更に、VEGFの受容体であるFlk-1、flt-1の発現もマクロファージを中心に検出され、動脈硬化症の発症及び進展におけるVEGFの病態生理的意義が示唆された。また培養ヒト冠動脈由来内皮細胞において酸化LDLによりVEGF発現が有意に亢進することを明らかにした。 2.フローサイトメーターによるマウスES細胞からの内皮細胞前駆細胞のソーティングと内皮細胞分化における血管局所ホルモンの意義の検討:今回、Flk-1陽性マウスES細胞をフローサイトメーターによりセルソーティングし、VEGFを添加することにより内皮細胞に分化誘導し、更に三次元コラーゲンゲル内培養を行うことで管腔構造を構成することにも成功した。一方、ES細胞浮遊培養し、embryoid body(EB;胚様体)へ分化させ、その分化過程でVEGFファミリー、及びそのレセプター群(内皮細胞特異的レセプターチロシンキナーゼ)の発現を明らかにするとともに、CNP及びその受容体が血管発生初期からその発現の認められることを報告した。また、ラット胎児及び新生児期の肺組織において、CNPが肺血管系及び肺胞上皮発生分化過程でその発現が認められることも報告した。 3.血管局所ホルモンのジーン・トランスファー及びトランスジェニックマウスによる血管再生における意義の検討:CNPcDNAを組み込んだ非増殖性アデノウィルス(Ad.CNP)を構築し、ウサギバルーン傷害モデルにAd.CNPを感染させた。その結果、大腿動脈新生内膜病変が40%抑制され、更に、血管平滑筋細胞の高分化マーカーであるSM-2発現の誘導を認めた。また、増殖性病変の抑制に伴い、内皮再生の有意の促進が認められた。また、CNP等ナトリウム利尿ペプチド及び一酸化窒素NOの共通の細胞内シグナルであるcGMPカスケードの主要なシグナル伝達物質であるヒトcGKタイプ1αをクローニングした。更に、サイトメガロウィルスエンハンサー、βアクチンプロモーターに連結したcGKをトランスジーンに用い、cGK.トランスジェニックマウス(Tg)を開発した。cGK.Tgでは、脳、心臓、血管、骨格筋にcGKの強い発現を認めた。新しい血管障害モデルとして、光化学励起法を用いcGK.Tgにおける増殖性血管病変の形成について検討し、その結果、cGKが血管保護的に作用する結果を得た。
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