配分額 *注記 |
13,200千円 (直接経費: 13,200千円)
2000年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
1999年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
|
研究概要 |
生体肝移植後の急性および慢性拒絶反応の発生率は脳死肝移植後のそれに比べて有意に低いことが示されており、血縁者をドナーとすることの有利性が示唆されている。また、Epstein-Barr virus感染による内因性インターロイキン(IL)-10の産生亢進が免疫学的寛容状態誘導する可能性がある。本研究はこれらを背景に、生体肝移植における拒絶反応発生に関与する因子を検討するとともに、免疫学的低反応ないしは寛容状態の誘導に必要な要因について検討した。対象は信州大学医学部第一外科で行われた生体肝移植143例および脳死肝移植2例の計145例である。これらの症例について、Human Leukocyte Antigen(HLA)の一致率、血中サイトカイン濃度の変化,肝組織サイトカインmRNA発現量の変化,Epstein-Barr virus感染の有無、術後肝機能障害の有無、拒絶反応の有無とその病態を比較検討した。その結果、生体肝移植でもHLAの一致率と拒絶反応の発生率との間にまったく関連性を認めなかった。血液中のサイトカインおよび肝組織サイトカインmRNAの発現は拒絶反応,感染症,血栓症に伴って変動を認め,IL-6,8,12,15が拒絶反応に伴って高値を示し,IL-6,8が感染症および血栓症で高値を示した.この結果は,いわゆるTh1サイトカインの中でもIL-12,15の拒絶反応への特異的な関与を示唆するものとして注目される.また,Epstein-Barr virus感染例では,感染症の発症に伴って免疫抑制状態が惹起され免疫抑制薬の一時的な中止が可能であった.またこれに一致してIL-10の発現が増加しており,いわゆるTh2サイトカインが内因性の免疫抑制状態を引き起こしているものと考えられた.
|