研究課題/領域番号 |
10470242
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
稲本 俊 京都大学, 医療技術短期大学部, 教授 (10135577)
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研究分担者 |
二階堂 敏雄 信州大学, 医学部, 講師 (50180568)
山内 清明 香川医科大学, 講師 (00291427)
淀井 淳司 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80108993)
林 慎一 埼玉県立がんセンター研究所, 主任研究員 (60144862)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
12,900千円 (直接経費: 12,900千円)
1999年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
1998年度: 8,800千円 (直接経費: 8,800千円)
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キーワード | 乳癌 / エストロゲン依存性増殖 / チオレドキシン(TRX) / エストロゲン受容体 / 細胞周期調節 / レドックス制御 / ホルモン療法 |
研究概要 |
当該研究期間中に明らかにした点は、 (1)TRXの細胞内発現量の寡多でクローニングした乳癌細胞株MCF-7を用いた細胞周期DNA解析で、TRX発現量の少ないクローンほどエストロゲン依存性増殖速度が速い傾向がみられた。(山内清明、稲本俊) (2)乳癌の免疫組織染色で、TRX細胞内発現量が中等度以上みられる症例では、ER陽性群のpS-2発現率がER陽性群に比べて有意に高く、p53陽性群のmitotic indexがp53陰性群に比べて有意に高い傾向がみられ、ERとpS-2の発現やp53の働きに細胞内のTRXが関与していることが示唆された。(山内清明、稲本俊) (3)wild type p53陽性乳癌細胞株においてp53依存性p21活性化における転写活性がTRXにより増強されることを明らかにした。この知見より、TRXは乳癌細胞の酸化ストレスに対する防御機構や増殖機構に関与することが示唆され、レドックス制御を応用した新しい治療法の開発が可能であると考えられる。(淀井淳司) (4)エストロゲンレセプターのシステイン残基をアラニンに置換した変異体を用いた解析から、DNA結合領域だけでなく、リガンド結合領域にもTRXによって制御されるレドックス高感受性部位が存在することが示された。(林慎一) (6)ホルモン依存性に増殖する子宮筋に比べて子宮筋腫では、転写因子であるAP1のレドックス制御に関与するRedox Factor1(Ref-1)は、子宮筋腫では還元型が主体に、子宮平滑筋では酸化型主体に、またTRXはその逆に発現している可能性が見られたので、本年度は乳癌細胞株(MCF-7)において抗Ref-1抗体を用いてウエスタンブロッティング法により同様の研究を行った。その結果、乳癌細胞株でも、Redox Factor1(Ref-1)の還元型及び酸化型と思われる34Kd及び37Kdに相当する二本のバンドが認められたので、乳癌細胞株(MCF-7)においても細胞内レドックスの制御に破綻をきたしている可能性が考えられた。(二階堂敏雄) 以上より本研究で示されたERに対するレドックス制御は乳癌の生物学的特性を考える上で非常に重要である。今後、ERのレドックスによる機能制御の分子機構の解明、さらに、効果的な乳癌ホルモン療法を確立する必要がある。
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