研究分担者 |
笹井 啓資 京都大学, 医学研究科, 助教授 (20225858)
藤井 信孝 京都大学, 薬学研究科, 教授 (60109014)
今村 正之 京都大学, 医学研究科, 教授 (00108995)
小切 匡史 京都大学, 医学研究科, 助手 (60283595)
土井 隆一郎 京都大学, 医学研究科, 講師 (20301236)
|
配分額 *注記 |
11,300千円 (直接経費: 11,300千円)
2000年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
1999年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1998年度: 4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
|
研究概要 |
1.アポトーシスの細胞内シグナル伝達機序と膵癌治療:膵癌組織標本の検索では,他の固形癌と異なり膵癌ではBcl-Xなどのアポトーシス抑制性Bcl-2蛋白が過剰発現していた.膵癌細胞株では放射線感受性と細胞のBax/Bcl-2比が相関し,外因性CDK阻害剤はBax/Bcl-2比の上昇を伴うアポトーシスを誘導し,放射線耐性株ではBcl-Xの誘導が認められた.そこでBcl-X遺伝子のアンチセンスの効果を検討,塩基配列特異的mRNA翻訳阻害と放射線誘導下のアポトーシス増強作用がえられた. 2.膵癌遺伝子異常に立脚した新規抗癌剤開発:新規レチノイドTAC-101は,膵癌増殖抑制作用が強力で,その機序に内因性CDK阻害因子(p21,p27)の誘導が深く関連していた.またアンテナ遺伝子ペプチド化p16活性中心ペプチドを合成し膵癌細胞導入実験を行ったところ,G1期休止による膵癌細胞増殖抑制が明らかになり,皮下腫瘍モデルでの著明な抗腫瘍効果,腹膜播種モデルでの有意の延命効果が認められた.薬剤による有害事象はなく,膵癌遺伝子異常に立脚した新規抗癌剤を癌治療に応用することの有用性が示唆された. 3.tumor dormancyをめざした膵癌治療法:膵癌組織の検討で,VEGFとPD-ECGFが膵癌細胞に強発現,腫瘍血管新生との密接な相関を認めた.さらに血管内皮細胞の遊走に着目,間質細胞にSDF-1遺伝子が,腫瘍血管内皮と癌細胞に受容体CXCR-4が強発現し,膵癌細胞と血管内皮細胞のin vitro遊走能にSDF-1/CXCR-4が深く関与していた.またインテグリンαvβ3選択的拮抗阻害剤のEアルケン化cyclic RGDペプチドを創製,血管内皮接着阻害作用と増殖抑制作用が強力で,マウス治療実験で腫瘍増殖が腫瘍血管新生に依存しない時期からRGDペプチドを投与し,tumor dormancyを誘導した.
|