研究概要 |
胚移植技術の習熟により、GFP Tg(B6)及びbm12マウスのSPF化に成功した。導入遺伝子の移植実験に対する影響を確認するために、GFP Tg(B6)マウスをドナー及びレシピエントに用いて、B6,bm1,bm12マウスとの間で皮膚移植実験を行った。その結果,導入GFP蛋白は弱い移植抗原として働くが、GFPマウスは通常の移植実験に使用可能なことが明らかになった. 非Tgマウス間の皮膚移植によって次のことが明らかになった。 A:B6マウスにクラスI MHC抗原のみ異なる(B6xbm1)F.1脾細胞を10^7個以上静脈内投与すると対応するbm1皮膚移植片が著名に生着延長する。 B:B6マウスにクラスII MHC抗原のみ異なる(B6xbm12)F1脾細胞を10^8個静脈内投与してもbm12皮膚移植片は生着延長しない。 GFPでマークされたB6,bm1またはbm12脾細胞10^7個を正常B6マウスに静脈内投与し、1,2,4または8週後にFACS解析を行い、以下のことを明らかにした. C:宿主と同系のB6脾細胞はすべての細胞分画が移入動物内で確認され,徐々に数を減じて移入後8週後には検出されなくなった. D:MHCクラスIの異なるbm1脾細胞はすべての細胞分画が移入動物内で確認されるが,移入後の検出細胞数はB6の場合の約半数で,移入後4週後には検出されなくなった. E:MHCクラスIIの異なるbm12脾細胞は,移入後検出される細胞数,期間はbm1と同様であったが,移入B細胞が特異的早期に消失する事が明かとなった. マウスSPF化が予想以上に困難であったため,今回の知見と免疫寛容現象の関係が明瞭に出来ず,成果の公表には至らなかったが,本アプローチが免疫寛容現象の未知の部分を解明する可能性が示唆された.また,本研究中に開発した分子生物学的手法を用いて,共同研究者が次に記載する論文を発表した.
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