配分額 *注記 |
11,500千円 (直接経費: 11,500千円)
2000年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1999年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
|
研究概要 |
器質的心疾患を合併した慢性心房細動症例における電気生理学的特徴を詳細に検討するために,多点電極(カード型電極およびカテーテル型電極)とマッピングシステム(フクダ電子社製HPM-7100および特注作成したNEC製多点マッピング装置)を用い,左右心房の自由壁,肺静脈入口部などの解剖学的障壁部を中心に術中心房細動中の心表面電位マッピングを僧帽弁疾患を中心に行った.記録された電位を特別に改良した解析ソフトを用いて解析し,興奮伝播様式や早期興奮部位,伝導遅延部位,波形規則周期性(スペクトル解析)等について検討した.これにより,従来の報告にあったマクロリエントリーは十分に認められず,これとは異なった興奮波が観察された.また,興奮規則性を客観的に評価し,規則性の強さを検証するためにスペクトル解析を用いると,左右心房の電気的差異が見られた.これらから,僧帽弁疾患に合併する慢性心房細動では左心房で起こった早期興奮波が右心房に伝わり,右房の不応期が長いために興奮が追随できずに心房細動が形成されると考えられた. 以上の電気生理学的所見などから,より低侵襲な術式である肺静脈口隔離術(肺静脈入口部と左房後壁のみを電気的に隔離する術式)を考案した.これを僧帽弁手術に付随して行うと,80%の症例で何年も持続していた慢性心房細動が消失し洞整脈に復した.この術式で心房細動が消失しなかった症例は超音波検査上で左心房の拡大が著明な例や心房細動歴の長いものが多かったが,電気生理学的には左右の心房の差異が小さいものほど心房細動は治りにくかった.超音波検査による評価では,心房細動が消失した例では術後の心全体のパフォーマンスは良く,外科的に切開線の入っている左心房側であっても多くの例で心房機能は回復し,十分な心房波(atrial kick)が観察された.
|