研究概要 |
1)腎がん患者における副腎転移、手術時副腎摘出の意義(Int J Urol投稿中) 当科で治療した腎癌の副腎転移例12例を検討した。副腎転移とGrade、T分類、腫瘍の局在様式に関連が認められなかったことより、副腎転移に関しては、細胞-組織間の特殊なメカニズムの存在が示唆された。 2)ガラクトシール糖鎖抗原の発現系の違うヒト腎癌由来細胞株の樹立(Tohoku J Exp Medicine:189,95-105,1999.) 当科で根治的腎摘出術を行った症例の腎癌組織より腎癌の悪性度を反映する分子、monosialosyl galactosyl globoside(MSGG),disialosyl galactosylgloboside(DSGG)の発現量の違う4株を樹立した。 3)腎癌細胞におけるガラクトシールグロボシド抗原の存在様式に関する検討(Int J Oncol:16,529-536,2000.) 腎癌細胞に発現するDSGGは肺転移関連分子である。今回このDSGGの腎癌細胞での存在様式を検討したところ、glycolipid enriched microdomainとして存在し、細胞内シグナリングに大きく関与していることが示唆された。このような機能的microdomainの存在は腎ガンの悪性度を反映する重大な因子と考えられた。 4)ヒト肺がん由来細胞、ヒト腎癌由来細胞株の表面糖鎖抗原の解析とヒト正常副腎組織に対する接着能の検討(医学のあゆみ:194,841-844,2000) ヒト肺腺ガン由来細胞、腎癌細胞にDSGG, MSGGの発現を認めた。ヒト肺がん由来細胞、腎癌由来細胞はDSGG dependentに副腎髄質細胞と強い接着性を示した.このことは、DSGGが副腎転移関連-機能的分子である可能性を示唆するものである。
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