研究課題/領域番号 |
10470353
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
古川 仭 (古川 仞) 金沢大学, 医学部, 教授 (40092803)
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研究分担者 |
竹下 元 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (40272976)
吉崎 智一 金沢大学, 医学部・附属病院, 講師 (70262582)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
11,500千円 (直接経費: 11,500千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1998年度: 7,600千円 (直接経費: 7,600千円)
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キーワード | 上咽頭癌 / EBウイルス / 遺伝子治療 / BZLF1 / LMP-1 / MMP-9 / p53 / BZLF^1 |
研究概要 |
EBVのBZLF1遺伝子は前早期蛋白であるZ蛋白を発現する遺伝子で、潜伏感染からウイルス複製にスイッチする遺伝子として知られ、最終的にはVCA(viral capsid antigen)を発現し、宿主細胞は死滅する。これまでの研究は、この原理を利用して上咽頭癌(NPC)において高率なBZLF1遺伝発現を行い、癌を治療する遺伝子治療の基礎的研究を行ってきた。一方でEBVの唯一の癌化遺伝子産物であり、リンパ球を不死化することが出来るLMP1蛋白についての解析を加えた。その結果、LMP1は転移に密接に関与するMMP-9を誘導することを報告した。そこで、転移抑制の立場から癌の治療ができないかを検討するために、癌の転移に何らかの関与が示唆されているいくつかの遺伝子をとりあげ、NPCにおけるそれらの発現とLMP-1の発現との関連性を調べた。 その結果、(1)HGF(Hepato Growth Factor)のレセプターで、各種細胞内伝達系を活性化し、様々な癌の増殖、転移との関連が知られているc-Metは、LMP1の発現頻度と相関がみられた。(2)血管新生因子としての作用が証明されているIL8の発現はLMP1の発現と相関した。(3)IFNγを誘導し、細胞性免疫抑制作用が知られているIL-10の発現はNPCの浸潤度に相関して高かった。(4)転写活性因子として知られているets-1遺伝子の発現は細胞運動能とも関係することから、MDCK細胞にets-1のdominannt negative formを発現させてやるとLMP1による運動能亢進は抑制された。しかし形質転換能は抑制できなかった。このように浸潤性、転移性と正の関連を有するLMP1発現の制御がNPCの治療では最も効果的であると結論された。最後に化学物質によるLMP1の発現抑制の可能性も検討したところ、アスピリンがLMP-1の発現を抑制することをin vitroの系で確認できた。以上、本研究において、NPCの遺伝子治療の方向性として、一つはウイルス複製のスイッチ遺伝子BZLF1の発現、もう一つの可能性としてLMP1の発現抑制が効果的と結論された。
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