研究概要 |
明暗変化はロドプシン等の様々な遺伝子の発現に関与するすることが報告されているが、その詳細は明らかでない。一方、c-Fosとc-Junは2量体を形成し、AP-1の転写因子となる。網膜では明暗変化に伴い、この2つの遺伝子が発現すること、c-fos発現は内因性の日内リズムを持つことが判明した。また、c-fos発現を調節するcAMP responsive element binding protein(CREB)の検討により、明暗変化がカルシュウムの流入を介したCREBのリン酸化により、この遺伝子の発現を調節していることが明らかになつた。さらに、視細胞の伝達物質であるグルタミン酸に反応するmetabotropic glutamate receptor 6(mGluR6)のノックアウトマウス解祈により、mGluR6が双極細胞の転写調節に関与していることも判明した。 暗期に視細胞に発現するFos蛋白はrhodopsin遺伝子のpromoterに存在するNRL結合部位に結合し,rhodopsin遺伝子の転写調節に関与するかどうかを明らかにすることを目的に、ラツト網膜より核抽出液を作成しNRL結合部位のオリゴヌクレオチドを作成し,暗期の網膜よりの核抽出液と共に電気泳動した。さらに,抗FOS抗体を加えて,オリゴヌクレオチドと暗期の網膜よりの核抽出液共に反応させ,電気泳動を行った。その結果ロドプシン遺伝子の転写調節領域に存在するc-Fosタンパク質結合部位のオリゴヌクレオチドを作成し、暗期の網膜よりの核抽出液と共に,電気泳動した際、泳動距離が短くなることを見いだした。次に、抗FOS抗体を加えて,オリゴヌクレオチドと暗期の網膜よりの核抽出液共に反応させ,更に泳動距離が短くなることを明らかにした。これらの結果から、暗期に網膜視細胞に発現するFos蛋白が,ロドプシン遺伝子のNRL結合部位に結合していることが明らかになった
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