研究課題/領域番号 |
10470379
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
朔 敬 新潟大学, 歯学部, 教授 (40145264)
|
研究分担者 |
依田 浩子 (米持 浩子 / 依田 浩子(米持 浩子)) 新潟大学, 歯学部, 助手 (60293213)
大城 和文 新潟大学, 歯学部, 助手
程 くん (程 〓) 新潟大学, 歯学部, 助教授 (40207460)
木村 信 新潟大学, 歯学部, 助手 (80251825)
織田 公光 新潟大学, 歯学部, 教授 (10122681)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 2000
|
研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
|
配分額 *注記 |
12,700千円 (直接経費: 12,700千円)
2000年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1999年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 8,200千円 (直接経費: 8,200千円)
|
キーワード | 細胞外基質 / ヘパラン硫酸プロテオグリカン / ファイブロネクチン / インテグリン / 腺様嚢胞癌 / in-situハイブリダイゼーション / ACC3 / 選択的スプライシング / 腺様歯原性腫瘍 / 口腔粘膜 / ファイブロクネクチン / 口腔癌 / オリゴ糖鎖 |
研究概要 |
ヒト口腔癌由来細胞ACC3、ZK-1ほかの産生するファイブロネクチン(FN)の分子量が血清ならびに線維芽細胞FNに比べて大型であることから、その分子解析をしたところ、選択的スプライシングによってED-B/ED-A/IIICS領域が組み込まれた蛋白質であること、さらにN-およびO-結合型オリゴ糖鎖付加が大きくまたシアル酸添加もあるためということが判明した。 この口腔癌型FNに対して、これらの口腔癌細胞は血清FNにくらべてより高い接着性をしめした。そこで、FNに対する細胞膜受容体であるインテグリン(INT)についても検討したところ、少なくともN-結合型オリゴ糖鎖の添加量が大きいことが判明した。したがって、口腔癌細胞は自ら産生する細胞外基質により強力に接着する細胞生活環境を整えて増殖性を制御していることが示唆された。 さらに、ヒトHSPGコア蛋白質遺伝子の全領域をカバーするプライマーを設計して、ACC3細胞ほかについてRT-PCR増幅をおこない、選択的スプライシング領域を検出するためにスクリーニングをおこなった。多数の候補遺伝子断片がスクリーニングされたが、現在までのところ確定的な領域を決定できておらず、なお検討中である。 つぎに、各口腔腫瘍におけるHSPGならびにFN遺伝子の特定領域の発現を組織学的に検索したところ、HSPGおよびFNは腫瘍実質細胞のみならず間質線維芽細胞にも広範に発現していることが判明した。扁平上皮癌と腺様嚢胞癌では、とくにFNのED-B領域は実質細胞に、ED-A領域は間質線維芽細胞にそれぞれ特異的に発現しており、実質間質の役割分担があることが示唆された。腺様嚢胞癌の実質胞巣では小型導管様構造構成細胞にHSPGならびにFNのED-B領域の発現が顕著で大型偽嚢胞構成細胞では減弱しており、偽嚢胞の起源と発育経過が解明された。また、過誤腫では、HSPGおよびFNの局在パタンから真の腫瘍と鑑別できること、炎症性病変では、間質あるいは肉芽組織線維芽細胞とともに再生実質細胞によるHSPGの発現が顕著であった。 以上の結果から、腫瘍実質の成長とこれにともなって誘導される間質の双方にHSPGおよびFNの発現が重要であること、とくに実質胞巣の形態形成に主導的役割をはたしていること、腫瘍細胞の浸潤性性格にこれらの分子の発現が伴っていることなどが明らかで、これらの分子を介した細胞間クロストーク様式が腫瘍の生物学的性格を規定している可能性さらに肉芽組織形成に大きな役割を果たしていることが示唆された。
|