研究概要 |
本研究では,負荷と軟骨破壊との関係,さらにはその機序を明らかにすることを目的として,周期的な伸展負荷が軟骨細胞の増殖,基質合成,軟骨破壊因子の発現におよぼす影響について検討し,以下の知見が得られた。 1.DNA,タンパク質およびコラーゲン合成に対する影響 15kPaおよび5kPaのどちらの負荷でもDNA合成能,タンパク合成能およびコラーゲン合成能は高頻度のストレスによって有意に低下した。 2.プロテオグリカンの蓄積と合成に対する影響 ウロン酸量はどちらの負荷でも高頻度のストレスによって有意に減少した。また,15kPaの高頻度のストレスを加えると,プロテオグリカン合成は経時的に減少したのに対し,低頻度のストレスでは,負荷後初期にプロテオグリカン合成がわずかに減少したがその後はほとんど変化しなかった。さらに,15kPaの高頻度のストレスにおいて培養上清中にMMPインヒビターを添加すると,ストレス負荷後のプロテオグリカンの減少が抑制された。 3.軟骨破壊因子の遺伝子発現におよぼす影響 IL-1,MMP-2 mRNAについては,どちらの負荷群においても負荷後早期に一時的な増加が認められた後,24時間以内には元のレベルにまで戻った。これに対し,MMP-9 mRNAの発現は,15kPa負荷群では24時間まで増加し続けた。 4.ゼラチナーゼ分泌に対する影響 5kPa負荷群ではMMP-2,MMP-9の産生はともにストレスの影響をほとんど受けなかったが,15kPa負荷群では潜在型および活性型MMP-9さらには潜在型MMP-2の産生が,ストレス負荷後24時間で対照群と比較して明らかに増加した。 5.NO産生におよぼす影響 高頻度の条件で負荷を加えた場合,NO産生は負荷後48時間以降対照群と比較すると有意に上昇した。
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