研究概要 |
1.インドロ[2,3-a]カルバゾール化合物群の研究 (1)インドリンから1-ヒドロキシインドールを合成する新反応を見出し,1-メトキシインドールへ誘導後2位をリチウム化し酸化カップリングして,2,2'-ビインドリル(1)を得る新手法を開拓した。 (2)インジゴを還元して,1,3-アセトキシ-2,2'ミビインドリル(2),1-アセチル-2,3-ジヒドロ-2,2'-ビインドリル(3)をそれぞれ1工程で,選択的に作り分ける独自の新反応を3種類見い出した。 (3)1,2,3のそれぞれを出発原料として,抗菌,抗ガン作用を持つ天然物,6-シアノ-5-メトキシインドロ[2,3-a]カルバゾール(4)に適用可能な5種類の新規全合成法を見出した。 (4)4に至る合成中間体から,様々な4の誘導体の合成が可能となった。 (5)N-グリコシル-2,2'-ビインドリル(5)の簡単な合成法を開拓し,本基質から,N-グリコシルインドロ[2,3-a]カルバゾール化合物群を得る新手法を見出した。 (6)5位に酸素官能基を有するインドロ[2,3-a]カルバゾール化合物群の簡便な新しい一般合成法を確立した。 2.インドロ[2,3-a]カルバゾール化合物研究の発端となった1-ヒドロキシおよび1-メトキシインドール化学の展開 (1)1-ヒドロキシインドール類はこれまで未知であった求核置換反応を5位で位置選択的に起こすという新事実を発見することが出来た。 (2)1-ヒドロキシおよび1-メトキシインドール類は,その構造に基づく特徴的な新反応を数多く起こし,新反応,新事実の宝庫であることが分かった。 (3)これまで全くその存在も知られていなかった,インドールの化学における独創的な,全く新しい領域への扉を開くことが出来,今後の進展は末広がりの状態となっている。
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