研究課題/領域番号 |
10470530
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
臨床看護学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鈴木 敦子 大阪大学, 医学部, 教授 (50196789)
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研究分担者 |
河上 智香 大阪大学, 医学部, 助手 (30324784)
中村 敦子 大阪大学, 医学部, 助手 (70314383)
楢木野 裕美 大阪大学, 医学部, 助教授 (90285320)
上野 昌江 大阪府立看護大学, 看護学部, 助教授 (70264827)
鎌田 佳奈美 大阪大学, 医学部, 助手 (30252703)
田中 春美 大阪大学, 医学部, 助手 (50294103)
田間 恵實子 大阪大学, 医学部, 講師 (80116061)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
5,300千円 (直接経費: 5,300千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1999年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1998年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 養育不全 / 一次的虐待 / 人格特性 / 発達の質的転換期 / 若年の母親 / 育児負担・不安 / 強迫観念 / 参与観察 / 関係性の歪み / 被虐待児 / 了解可能 / 参加観察 / 焦点面接 |
研究概要 |
テーマを追求するために、新生児期と乳児中期の子どもをもつ母親に対して、養育不全の早期に発見につながるチェックリストを作成し、それに基づき、退院時、養育不全の懸念がなかった30名の母親を子どもが6ヶ月以前に数回訪問し、養育をめぐっての問題と気持を語ってもらった。さらに、退院時、養育上に何らかの懸念のある7名の母親を家庭訪問し、ケース分析を行なった。 その結果、多くの母親の養育に対する意識や態度は、決して固定化、タイプ化しておたず、流動的かつ変化していくもことが具体化できた。しかし、母子の相互作用を通して確立される身体的・心理的一体感を形成することの困難さも示唆された。母親自身の感情がいかに満たされているかが、子どもとの相互作用を確かなものにしていた。予定外の妊娠にまつわる問題や長期に続く強度のつわりなど、さまざまな感情の揺れを体験していた母親にとって、一体感を育てるのは難しく、まわりの人びとによって、母親はもっと心理的に支えられる必要があることが示唆された。母親が子どもに共応できるには時間を要することも明らかになった。母親の多くは言葉をかけてはいるが、その動作が子どもの動作についていっていなかった。むしろ、母子の身体反応の共応性の確立される1ヶ月の頃に、母親は体調の悪さ不眠を訴えていた。子どもが<生理的リズム>から<生活リズム>へと質的に転換するこの時期、母親は育児疲労感や育児不安を感じていた。そして、子どもへの身体的・心理的な共応性は、生後3ヶ月頃になってやっとみられるようになっていた。 さらに、養育不全の綜合的な理解には、「子どもの身体的状況」、「母親の身体的状況」、「母親の子どもへの思い:感情と行動」「夫婦の補完性」、「母親の生育歴」、「社会的環境」、「事件・(問題)の内容」、「利用できる社会資源」が必要であり、そして母親への援助は、育児方法に指導的・支持的に関わることではなく、まず「親の話を聴く」ことから、「親の生活上のストレスの軽減」、「親の社会的孤立の解消」、「子どもが示している症状の軽減」と進み、その上で具体的に方法を示しながら「親の育児の改善」へと向うことも明らかにできた。
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