研究分担者 |
久野 譜也 筑波大学, 体育科学系, 講師 (70242021)
鯵坂 隆一 (鰺坂 隆一) 筑波大学, 体育科学系, 助教授 (70151058)
松田 光生 筑波大学, 体育科学系, 教授 (20110702)
高橋 英幸 日本体育学校センター, 国立スポーツ科学センター, 研究員 (00292540)
宮崎 りか 筑波大学, 体育科学系, 助手 (20292542)
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研究概要 |
年をとると運動遂行能力が低下する.この低下は,一つには生物学的な老化現象によるものであり,もう一つは不活動による筋骨骨格系の機能低下が原因である.これまでの研究で,高齢者でもトレーニングによって筋機能が改善することが明らかとなっているが,トレーニングによってどの程度まで,加齢による低下を抑制できるかについてはわかっていない.そこで,国内外のスポーツ大会において優れた成績を収めている80歳以上のアスリートを対象に身体的運動能力を測定し,高レベルの身体活動を行うことで,どの程度まで加齢の影響を抑制できるのかについて検討した.測定項目は磁気共鳴映像法を用いた大腿部および股関節構成筋群の筋量測定,等速性最大筋力,最大酸素摂取量,骨密度,および各種歩行能力のテストを含む体力テストである.加えて,質問紙法を用いてこれまでの運動歴や食事歴等ライフスタイルの調査も行った.その結果,高齢者アスリートは一般高齢者と同程度の筋横断面積をしており,日常の身体活動水準が高くても,筋量を維持することは困難であることが示唆された.それにもかかわらず,等速性最大筋力はアスリートにおいて高値を示し,特に,角速度が速い(300度/sec)時の筋力に大きな差異が示された.横断面積に差がないことから,この筋力の差は運動単位あるいはもっと中枢レベルの違いによるものであることが推察される.また,最大酸素摂取量,および骨密度においても50代と同等の数値を示し,体力テストでは総合評価でA判定を記録した.これらの結果から高水準の身体活動を続けると加齢による体力の低下の速度を半分近くにまですることが出来ることが明らかとなった.
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