研究概要 |
(1)動的負荷分散のためのプロセス拡散/融合に関する研究 同一プロセッサアーキテクチャの計算機で,プロセッサ台数,主記憶容量ならびに負荷が動的に変動するシステムを対象に,負荷の分散/収集,スケジューリング等の実行制御機構の研究を行った.特に個々の計算機のリアルタイム応答性を犠牲にすることなくネットワークスーパーコンピューティングを効率的に実現するスケジューリングアルゴリズムの開発に重点を置いて研究を行った.具体的には,ストライド・スケジューリングとプライオリティ・スケジューリングの両者の特徴を兼ね備えるとともにスケジューリング・オーバヘッドを軽減したFair Share Priority Schedulerを提案し,その評価を行った.さらに,動的に計算粒度の変更を行う自己スケジューリング型ランタイムシステムのプロトタイプ実装を行い,その評価を行った. (2)ネットワーク並列OSの研究 複数の独立した計算機が必要に応じて群(コロニー)を形成し,それらがあたかも単一の計算機であるかのようなイメージを提供することで従来のSMPシステムの操作性に匹敵する計算機環境を実現するコンピュータ・コロニーの研究を行った.ネットワーク上のの無尽蔵の計算資源を,その物理的な構成を意識せずに自由に使いこなせる計算機環境を実現するために必要な共有メモリ環境を効率的に実現するハードウェアと,プログラミングフェースとして従来のSMPシステムでのタスク-スレッド・モデルを拡張したミッション-ユニット・モデルを提案し基礎研究を行った.また,このモデルの有効性を実証するために,「Colonia」と呼ぶネットワーク並列OSの基本設計ならびにキャッシュコヒーレントな共有メモリを実現する通信ハードウェアの設計を行った.
|