配分額 *注記 |
11,500千円 (直接経費: 11,500千円)
2000年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1999年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1998年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
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研究概要 |
本研究の目的は,相異なる要求をもった利用者が共有されたコンピュータネットワークを利用する際に,ミクロ経済学で提案されてきた価格調整機構を応用することによって,それらの要求をよりよく反映し,かつ限りあるネットワーク資源を有効に利用する手法を開発し,かつ,その有効性を実アプリケーションへの実装を通して検証することである.ここで扱う枠組においては,ネットワーク中で利用者の選好を代表するものとしての消費者エージェント,アプリケーションプログラムのパフォーマンスを代表する生産者エージェントがそれぞれ定義される.それらが自己の利益を最大化するような入札を繰返し,それらにもとづいて価格が調整されて,最終的に無駄のないパレート最適な割当てが実現される. 本研究では,3次元仮想空間を用いたデスクトップ会合システムFreeWalkにおける通信制御にこの手法を応用して,市場モデルの構築,割当て機構の挙動のシミュレーションによる解析を行った. 上記のようなネットワーク資源の動的割当てを考える場合,ネットワークへの要求の変化に割当て機構が追従できることが必須である.特に市場機構をベースとした計算は,需要と供給との均衡を求めるために多数の繰り返しを含む収束計算となり,計算に要する時間的コストは無視できないものとなる.本研究においては上述の市場モデルを実アプリケーションであるFreeWalk上に実装し,検証を行った.同時に,計算機構を分散して実装する際に問題となる計算時間と通信遅延との間に生ずるトレードオフ(空間的トレードオフ)について分析を行い,また,収束計算の打ち切りタイミングと割当ての精度との関係(時間的トレードオフ)を明らかにした. 上記により得られた知見をもとにして,1から数セグメントの,比較的小規模なネットワークについて,市場モデルにより資源の割当てを行うシステムであるQoS Marketを実装し,その評価を行った.Qos Marketの特色としては,市場モデルによる資源割当ての他に,移動エージェントによる繰り返し計算にともなう通信メッセージ数の大幅削減を達成していることや,個々のアプリケーションから独立した設計によってFreeWalkなどの個別のアプリケーションではなく一般のネットワークアプリケーションを扱うことができるようになったことが挙げられる.
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