配分額 *注記 |
13,300千円 (直接経費: 13,300千円)
2000年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
1999年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
1998年度: 6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
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研究概要 |
「安全な都市空間を設計する」ことの基本理念は,「なるべく災害が発しない工夫を施した空間をつくることであり,万が一災害が発生したときには,その被害を最小限に抑える仕組みを持たせる」ことである. 最近では,耐震設計や施工技術、建設材料の進歩によって,都市施設の物理的な強度は向上し,構造体としては災害が発生しにくい環境になっている.しかし施設利用者の避難安全性の観点からの空間設計は,まだ十分とは言えない.このような状況を踏まえると,「安全な都市空間」を実現するためには,後者の「利用者の安全性」から見た検討が今後益々重要になってくると思われる.すなわち,「避難しやすい空間としての都市空間設計」であり,災害発生時に,その影響を最小限に押さえる仕組としての「災害状況を踏まえた最適避難誘導」である. 本研究では,上述のような条件を満足する「安全な都市空間」の実現のための第1ステップとして,個人特性や災害状況,避難誘導などの影響を考慮しうる避難行動シミュレーションモデルを開発し,空間配置や避難誘導条件の異なる避難シミュレーションを行い,いくつかの基礎的な検討を行った.その結果,内部配置の違いによって避難効率が大きく変化すること,避難誘導は災害の状況に応じて適切に行うことが重要であり,誤った誘導はかえって避難効率を低下させる可能性があることが示された. 本研究で紹介した避難行動シミュレーションは,計画段階の構造物に対しては,通路幅や柱・出口の数や位置の決め方など,安全な空間設計を実現するためのツールとして利用することができる.また,既設の構造物に対しては,災害発生時の人的被害を最小限に抑えるための,効果的な避難誘導方法の検討,空間の構成や役割に対する理解を深めるための有力なツールとして利用できるものである.
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