配分額 *注記 |
14,300千円 (直接経費: 14,300千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1999年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
1998年度: 8,700千円 (直接経費: 8,700千円)
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研究概要 |
本研究は,核融合プラズマダイバータ部や中性粒子加熱用負イオン源プラズマで重要な役割を果たす正・負水素イオンの相互中性化過程を調べ,その結果を元に,可視分光法を用いた簡便で近接性のよいプラズマ中の水素負イオン診断法を開発することを目的としている。この目的を達成するため,1)水素プラズマのイオン組成比の測定,2)レーザー光脱離法による水素負イオン密度測定,3)正・負水素イオンの相互中性化反応による可視発光の検出,4)レーザー誘起蛍光法による水素原子密度測定,5)レート方程式による水素プラズマのモデリングの5項目に関して研究を行った。 飛行時間型質量分析器を用いた測定から,正イオン組成が電子密度の関数として明らかになった。また,負イオンとしては原子負イオンが支配的であることが確認された。レーザー光脱離法の実験から,高密度水素プラズマのアフターグローにおける負イオン密度の時間変化が明らかになった。アフターグローで水素原子バルマー系列の可視発光強度の時間変化を測定したところ,主量子数が3および4の励起状態からの発光はアフターグロー後期において長い減衰時定数を持ち,長時間発光が維持されることがわかった。レーザー光脱離法の測定結果などから得られた正負イオン密度の積の時間変化と発光強度の時間変化を比較したところ,アフターグロー後期においてよい一致が見られ,これにより,アフターグロー後期における緩やかな減衰を持つ可視発光が正・負イオンの相互中性化反応によるものであることが示された。したがって,通常は検出が困難な水素負イオンを可視発光強度の測定により簡便にモニター可能である。以上の実験結果は,レーザー誘起蛍光法による水素原子密度測定の結果を踏まえたレート方程式解析の結果と定性的に一致した。以上により,本研究の当初目的は達成された。
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