研究概要 |
インターロイキン18(IL-18)の生理活性発現を阻害する物質の探索を目的として下記の研究を行った. 1.IL-18の結合を阻害するIL-18レセプターに対する抗体の探索 マウスのIL-18レセプターの全細胞外ドメインを網羅する部分ペプチドをアミノ酸を5残基ずつずらして調製し、ラットを用いてポリクロナール抗体を作成しようと試みた。しかし、レセプターに対する有効な抗体を得ることができなかった. 2.ファージライブラリーを用いたIL-18受容体への結合活性を有するペプチドの探索 ファージランダムペプチドライブラリーをIL-18受容体のα鎖を発現しているマウス由来細胞,mastocytoma株P815,と反応させ,結合したファージを回収しそれを増幅させるというサイクルを繰り返し,結合活性の高いペプチドを発現しているファージを見つけだすこととした.ファージとしてpSKAN Phagemid Display System(MoBiTec社製)を用い,回収増幅操作を繰り返したが,目的とするペプチドを発現したファージを得ることができなかった.しかも,IL-18の活性はそれによって誘導されてくるインターフェロンγの量をイムノアッセイ法により測定するが,コントロールのファージ自体がインターフェロンγの産生の引き金となることが判明し,それ以上実験を続けることができなかった. 3.IL-18区分ペプチドとIL-18レセプターとの相互作用の検索 IL-18レセプターはIL-1レセプターファミリーに属し,IL-1βとIL-1レセプターの共結晶の構造解析結果から,IL-18とIL-18レセプターの接触面を類推し,IL-18の区分ペプチドを調製し,IL-18の活性発現に対する影響を調べた.その結果,IL-18(113-157)がIL-18の活性発現を押さえること,IL-18(8-66)を加えるとその効果が増強されることが判明した.
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