研究課題
基盤研究(B)
本研究の目的は、赤血球分化に関与する遺伝情報発現制御機構を総合的に解明することである。まず、ヘム合成系の酵素であるコプロポルフィリノーゲンオキシダーゼ(CPO)遺伝子をモデル系として採用し、赤血球系細胞とそれ以外の細胞における同遺伝子の発現制御機構の違いを明らかにすることを試みた。CPO遺伝子のプロモーター領域の解析により、同領域における新規CPREモチーフが重要であることが明らかになった。次に、赤血球分化に重要なNF-E2のファミリー分子として、Nrf3やBach1の機能の解明を試みた。その結果、Nrf3にはCaspase9と相互作用する領域が存在することを明らかにした。また、たいへん興味深い知見としてBach1がヘムを結合することを見いだした。さらに、Bach1遺伝子破壊マウスでは、ヘムオキシゲナーゼ1遺伝子の恒常的発現上昇が起こっていることを見いだした。これらのことから、ヘムの存在量により、Bach1の機能が変化する可能性が示唆される。ヘムが少ない場合は、ヘムオキシゲナーゼ1の基質が少ないことになり、同酵素の発現量は少なくてよいはずである。したがって、Bach1はヘムの量をモニタリングしつつ、ヘム依存性の制御を生み出しているものと考えられる。この予想どおり、Bach1のDNA結合は過剰のヘムの存在により顕著に抑制される。したがって、ヘムが過剰の場合は、Bach1によりヘムオキシゲナーゼ1の転写が抑制され、ヘムが減少するとその抑制が解除されることで転写が上昇するものと考えられる。
すべて 1999 1998 その他
すべて 雑誌論文 (10件) 文献書誌 (7件)
J. Biol. Chem. 274
ページ: 6443-6452
J.Biol.Chem. 274
Blood 91
ページ: 798-805
J. Biol. Chem. 273
ページ: 3625-3634
ページ: 5358-5365
Blood 92
ページ: 3436-3444
J.Biol.Chem. 273