研究課題/領域番号 |
10480169
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機能生物化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡田 雅人 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (10177058)
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研究分担者 |
岡田 雅人 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (10177058)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
6,200千円 (直接経費: 6,200千円)
1999年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
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キーワード | 細胞周期 / リン酸化酵素 / 神経細胞 / PCTAIRE / 終末分化 |
研究概要 |
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、細胞分裂において中心的な役割を担っているが、ある種のCDK相同性キナーゼは、終末分化し、分裂停止した神経細胞にも高発現している。本研究では、このようなキナーゼの一つPCTAIREの機能解析を通じて、終末分化した神経細胞で発現しているCDK相同性キナーゼの機能を明らかにすることを目的とした。まず、ラットcDNAライブラリーからPCTAIRE1,2,3をクローニングした。本研究によってはじめて一つの生物種よりPCTAIREファミリー全てがクローニングされたことによってPCTAIREファミリーの系統的解析が可能となった。PCTAIRE1,2,3ともに脳で発現しており特にPCTAIRE2は脳特異的に発現していた。脳の発生過程における発現は、分裂の盛んな胎生期ではほとんど発現しておらず、神経細胞が分裂を停止した生後に高発現していた。脳特異的に発現しているPCTAIRE2ついてさらに解析を進めた結果、PCTAIRE2は、グリア細胞よりもニューロンに発現していた。免疫沈降によってPCTAIRE2を回収しヒストンH1キナーゼ活性を測定したところ、セリンとスレオニン残基をリン酸化し、その活性には活性化因子が必要であることが示唆された。これらの結果からPCTAIRE2は終末分化したニューロン特異的に存在するセリン/スレオニンキナーゼであると考えられる。 さらにPCTAIRE2結合因子を酵母two-hybridシステムによって検索した結果、PCTAIRE2のN末端のに強く結合する新規分子を同定し、Tudor Repeat Associator with PCTAIRE2(Trap)と名ずけた。Trapは一次構造上ショウジョウバエの正常な胚発生に必要なTudorと部分的に相同性を示す領域が5回繰り返し構造をとっていた。TrapとPCTAIRE2の結合は融合蛋白質を用いたpull down assayや免疫沈降法によって確認した。両者の結合の生理的重要性を明らかにするために、発現パターンと細胞内局在に相関があるか検討した。Trapは、脳と精巣に多く発現しており、胎生期では発現が少なく生後にかけて増加しており、PCTAIRE2の発現パターンと類似していた。両者ともニューロンでは、細胞質に局在しており、COS7細胞ではミトコンドリアに局在していた。さらにラット脳の分画から神経細胞でもミトコンドリアの表層に局在することが示唆された。脳内での分布は、大脳皮質の第V層、小脳では分子層と顆粒細胞層にPCTAIRE2とTrapが、共発現していた。以上の結果から、PCTAIRE2とTrapの結合は生理的に重要な結合であると考えられる。
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