配分額 *注記 |
9,300千円 (直接経費: 9,300千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1998年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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研究概要 |
細胞のしなやかで巧妙な運動はモータータンパク質の滑走運動や細胞骨格の重合脱重合により引き起こされると考えられている.この運動を人工的に作ることができれば,細胞運動の基本原理を抽出できるかも知れない.そこで我々は,動く部品として微小管上を滑走運動を行うキネシンを基本にして,これに人工的な物質を組み合わせて,生体内で起こっているような動きを再現できる"ナノマシン"の開発を試みた.実験では,411残基からなる双頭キネシンの末端にビオチン(BCCP)を付けた組み替え分子を発現精製し,これをアビジンをコートした直径0.2μmの蛍光ポリスチレンビーズに結合させた.ATP非存在下で,このキネシンビーズに蛍光標識された微小管をまぜ,ビーズーキネシン-微小管の複合体を作った.これにcaged-ATPを加え落射蛍光顕微鏡下で形態を観察したところ,複合体は十個程度のキネシンビーズに数本ないし数十本の微小管が結合した固まりを形成し,全体の直径が10μm程で微小管は細胞骨格を思わせるような網目状の構造をしていた.これに紫外線を照射してATPを光遊離させた後の複合体の運動を観察を行った結果,運動の基本は3種類に大別された.それらは,1.全体が広がる進展運動,2.縮む収縮運動,3.微小管が曲がる屈曲運動,であった.ここで,進展運動と収縮運動は様々な方向を向いた微小管間を挟んでいるビーズ上のキネシンが微小管を滑らせるために生じ,屈曲運動は微小管の滑り速度の異なる間でずれが起こり,微小管が曲げられたため生じたと考察できる.キネシンの微小管上を並進運動するだけの単純な運動機能で様々な運動を発現できる可能性が示された.
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