研究課題/領域番号 |
10480185
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物物理学
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
徳永 万喜洋 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 助教授 (00192659)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
13,100千円 (直接経費: 13,100千円)
1999年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1998年度: 9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
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キーワード | 1分子技術 / 1分子計測 / 1分子イメージング / 1分子捕捉 / 生体分子モニター / アクチン・ミオシン / ルースカップリング / 分子機構 / 生体分子モーター / プローブ顕微鏡 / 1分子操作 / 分子間相互作用 |
研究概要 |
生体分子の分子構造解明を目的として、生体分子1個を活性を保持したまま捕まえ操作する新しい技術を開発した。水溶液中で分子1個を蛍光顕微鏡により直接観察するために、対物レンズ型全反射照明による蛍光1分子イメージング法を開発した。タンパク質を活性を保持したまま表面に固定するため、アビジン・ビオチン系を使う方法を確率した。化学修飾できる先鋭な探針先端として、先端の曲率半径が約17nmのZnOウィスカーを用いた。 この方法で微小ガラス針先端に捕捉したミオシン頭部1分子が、アクチン・フィラメントと相互作用して進む様子を直接計測することができた。ATP存在下での相互作用により台形状の変位が引き起こされるが、この立ち上がり部分を解析したところ、ミオシン頭部がステップ状にアクチン上を動くのが発見された。ATP濃度や温度を変えても、ステップ状の変位が観察された。統計的に解析したところ、ステップの大きさは平均5.3mmであった。わずかではあるが、逆向きステップも確認された。1変位あたり1〜5回のステップを踏んでいて、平均で2.5ステップしていることがわかった。 ステップの時間間隔の平均は、1μMATPで5ms、0.1μMの時3msとなって誤差の範囲で一致し、ATP濃度に対して依存性がなかった。また、台形状変位とATP分解が1:1に対応すると仮定すると、台形状変位の継続時間と、溶液中で測定されたアクチン・ミオシンとATP結合の2次の反応定数が一致した。このことから、ミオシン頭部1分子が,1回のATP加水分解中に複数回の力学的ステップを行うことが結論づけられた。 この新しい1分子捕捉計測技術は、分子間相互作用を1分子で直接計測するものであり、分子機構解明のための画期的な計測法である。また当研究の結果は、確率的な分子機構であるルースカップリング説の直接証拠を、初めて提示するものである。
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