配分額 *注記 |
11,300千円 (直接経費: 11,300千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1998年度: 8,300千円 (直接経費: 8,300千円)
|
研究概要 |
F1ATPase(サブユニット構成α3β3yδε、分子量38万)は,呼吸鎖が形成する、膜を隔てた水素イオンの濃度勾配をATPに変換するATP合成酵素の可溶性部分である.γサブユニットのα3β3部分に対する回転により巧妙に制御されるこの酵素の触媒機構を理解するため、クレオチド結合型のα3β3複合体構造解析,α3β3γ、α3β3γε部分複合体の結晶化、構造解析を行った. ヌクレオチド結合型のα3β3複合体構造解析については、種々のヌクレオチドを含む液に浸したα3β3複合体結晶を解析した.リガンド浸透型結晶のα3β3複合体自体の構造は、ヌクレオチド非結合型の場合と比べて殆ど変わらなかったが、リン酸結合性P-loopのリガンド結合性がβサブユニットで弱くなっていることがわかった.また浸透型ではなくヌクレオチド結合存在下でのα3β3複合体も得た。 α3β3γ複合体結晶については、精製と結晶化条件の検討を大幅に加えた.クライオの条件を検討したあとSPring8で回折実験を行った.実験室のX線源で20Åの回折模様を与えるこの結晶はSPring8では10Åの回折を与えた.更に高分解の反射を与える結晶化条件を検討している. α3β3γε複合体はSPring8で4.5Åの回折を与えることがわかった.なお、この複合体は結晶化条件を系統的に探索した結果、種々のリガンド結合状態の結晶を得た.0.2x0.2x0.1mm程度の中程度の大きさの結晶を液体プロパンで凍結後、100Kの窒素ガスのon/offアニールにより凍結結晶を準備した。格子定数は225.3,225.7,224.6Å,94.1,117.5,117.8度(P1)と決定された。単位格子中に4(1)22の回転対称で配置している8個のα3β3γε複合体が存在する。分子置換法による解析が進行中である.
|