研究課題/領域番号 |
10480197
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
細胞生物学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
饗場 篤 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (20271116)
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研究分担者 |
中尾 和貴 東京大学, 医科学研究所, 寄付研究部門教員 (20217657)
中村 健司 東京大学, 医科学研究所, 助手 (90253533)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
12,300千円 (直接経費: 12,300千円)
2000年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1999年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1998年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
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キーワード | H-ras / N-ras / K-ras / ノックアウトマウス / 2重欠損マウス / トランスジェニックマウス / チロシンリン酸化 / MAPキナーゼ / Ras / NMDA受容体 / NR1 / NR2B / カルシウム / ERK / Src / Fyn |
研究概要 |
哺乳類の3種のras, H-, N-, K-rasをそれぞれ欠損したマウスおよび多重ras欠損マウスを作成、解析した。H-ras欠損およびN-ras欠損マウスさらにH-rasN-ras2重欠損マウスは見かけ上正常に発達、成長し、寿命も野生型と変わらなかったが、K-rasノックアウトマウスは胎生期に致死となった。H-ras欠損マウスではDMBAおよびTPAによる化学皮膚発がん実験で、皮膚パピローマの数が野生型の約7分の1になった。また、H-ras欠損マウスに生じたパピローマでは半数以上でK-rasに活性化型の変異が生じていることを明かとした。従って、腫瘍形成能については活性化型H-Rasの機能を活性化型K-Rasが捕えることがわかった。また、K-ras欠損マウスにヒトプロト型H-ras遺伝子を導入したトランスジェニックマウスでは致死が回復した。従ってRasタンパク質の機能は細胞増殖、初期発生において重複していると示唆された。また、H-ras欠損マウスの海馬ではグルタミン酸受容体の一種であるNMDA受容体チャンネルのNR2サブユニットのチロシンリン酸化の向上、それに伴うNMDA受容体を介するシナプス応答の上昇、さらにはシナプス伝達の長期増強の増加が見られた。従って、H-Rasタンパク質はNMDA受容体のチロシンリン酸化を制御することにより、NMDA受容体応答、長期増強を制御していることが示唆された。また、Ras情報伝達系とNMDA受容体の関係を明らかにするため、海馬培養細胞をNMDA刺激した。この時、ERKおよびp38MAPKの活性化と共に、NMDA受容体のチロシン脱リン酸化が起こることが明かとなった。また、このERKの活性化にはRasの活性が必要であることが明かとなった。
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