研究課題/領域番号 |
10480199
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
細胞生物学
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研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
佐邊 寿孝 (佐邊 壽孝) (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第1研究部, 研究部長 (40187282)
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研究分担者 |
真崎 雄一 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第1研究部, 研究員 (60311304)
矢野 元 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第1研究部, 研究員 (00284414)
橋本 茂 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第1研究部, 研究員 (50311303)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
13,200千円 (直接経費: 13,200千円)
1999年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1998年度: 10,200千円 (直接経費: 10,200千円)
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キーワード | paxillin / tyrosine phosphorylation / p130Cas / cell motile activity / ARFGAP / membrane trafficing / インテグリン / 細胞接着 / 細胞運動 / パキシリン / アクチン骨格 / 蛋白質の細胞内動態 / カドヘリン / 斉一単層形成能 / 上皮間充織形質転換 / 接触阻止 |
研究概要 |
正常な上皮細胞や内皮細胞は、増殖に伴う細胞運動を繰り返し、最終的にはカドヘリン分子を介する細胞同士が密接に接着した斉一な単層を形成する。培養された繊維芽細胞や間充織細胞もまた、カドヘリン分子を発現しないが、同様な斉一単層形成能を示す。この斉一単層形成能は、臓器や組織の構築やその維持に必須である。細胞運動は主にインテグリンによる細胞の細胞外基質への接着により担われる。従って、上皮細胞や内皮細胞の斉一単層形成過程には、インテグリンによる運動性形質とカドヘリンによる静止的形質との相互作用が関与し、両者の活性がうまく制御される必要がある。 この点を解明する為、我々は、上皮間充織形質転換系を実験系に用い、この転換に伴う主要な生化学的変化を調べた。その結果、インテグリン裏打ち蛋白質であるパキシリンとp130Casのチロシンリン酸化が顕著な生化学的変化であることを見い出した。さらに、これらのリン酸化の役割を解析し、両者とも細胞の運動活性制御に密接に関連すること、さらには、両者は見かけ上、互いに反対の作用を及ぼすことを明らかにした。p130Casは他の研究グループも盛んに研究しているので、我々はそのリン酸化を独自に見つけたパキシリンに関してさらに詳しく解析を進めた。その結果、まず、パキシリンは細胞質内にかなり大きなプールが存在すること、繊維芽細胞においては、このプールは見かけ上、ゴルジ装置構造と大きくオーバーラップするものである事、パキシリンの細胞内局在には低分子性GTP結合性蛋白質の一員であるARF蛋白質の活性が深く関与すること、さらに、パキシリンに結合能を示し、ARFに対してGAP(GTPase-activating activity protein)活性を持つ,ARFGAP蛋白質、もしくはそれらのcDNAを数種類単離同定した。従って、インテグリン裏打ち蛋白質の細胞内局在性とダイナミクスは、単なる自由拡散過程によって担われているものではなく、ARFやARFGAP活性が深く関与する細胞内プロセスが存在する事が示された。また、パキシリンのリン酸化は細胞運動においてアクチン骨格の再構成や運動極性決定に深く関与することを示唆する結果を得ており、現在、パキシリン結合性ARFGAPの生理的役割との関連も含め、解析を進めている。
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