研究課題/領域番号 |
10480211
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
北本 哲之 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20192560)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
13,100千円 (直接経費: 13,100千円)
1999年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
1998年度: 8,800千円 (直接経費: 8,800千円)
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キーワード | プリオン蛋白 / 細胞内局在 / 異常化機構 / トランスジェニックマウス / 発生学 / 組織特異的因子 |
研究概要 |
プリオン蛋白の細胞内局在とその異常化の分子機構を解明するために、プリオン蛋白の高発現系として作製したトランスジェニック・マウスを用いてレコンビナント・プリオン蛋白の細胞局在を検討した。正常型プリオン蛋白は、中枢神経系では主にAxonに存在し、とりわけaxon terminalに多く存在する傾向がみられた。トランスジェニック・マウスの発生の過程でプリオン蛋白の発現を観察すると、耐性12日ころからaxonを中心に正常プリオン蛋白の存在が認められだし、神経細胞の未熟な段階では発現が少なく、神経細胞の移動が完成に近づくにつれ正常型プリオン蛋白が発現するのが明らかになった。dendriteよりaxonに多く存在することは、プリオン蛋白がGPIアンカー型蛋白であることがその局在に影響していると考えられた。また、中枢神経系以外では、主にneural crest由来の細胞で胎生早期から発現しており、副腎髄質、Auerbach神経叢、甲状腺C細胞などにつよく発現が認められた。特に、副腎髄質の細胞では胎生期のneural crestからの移動中から発現が認められ、ほぼ副腎皮質の細胞群の中に入る頃から発現が増すことが明らかとなった。各臓器で、正常型のプリオン蛋白のglycosylationには差が認められるという結果も得られた。このトランスジェニック・マウスを感染実験したところ、ヒトのプリオンに対して高い感受性を有することが明らかとなった。また、発病したマウスで異常プリオン蛋白の分布をWestern blot法で解析したところ、異常型のプリオン蛋白は現時点では中枢神経系でのみ確認され、一般臓器のプリオン蛋白の異常への変換が効率の悪いものであることを明らかにした。プリオン蛋白の異常化には、組織特異的な因子が必要であることを示唆する結果であった。
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