研究課題/領域番号 |
10480212
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
安原 治 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 助教授 (80239772)
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研究分担者 |
木村 宏 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 教授 (40079736)
遠山 育夫 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 教授 (20207533)
相見 良成 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 助手 (20231756)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
12,100千円 (直接経費: 12,100千円)
2000年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1999年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
1998年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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キーワード | 選択的スプライシング / コリンアセチル基転移酵素 / コリン作動性神経 / 網膜神経節細胞 / アンチセンス・オリゴヌクレオチド / 免疫組織化学 / 副交感神経 / RT-PCR / 脳機能解析 / mRNA / ホスホロチオエート・オリゴ / 分子変換 / MAP2 |
研究概要 |
1.神経細胞mRNAの選択的スプライシングの解析 (1)タウタンパクには選択的スプライシングによりチュブリン結合ドメインの数が異なる亜型があり微小管重合促進能に差がある。固定薄切切片からのmRNA解析によって、対照ヒト例の大脳皮質では3リピートタウが主体であり、アルツハイマー病大脳皮質で4リピートタウの比率が上昇することを明らかにした。 (2)アセチルコリン合成酵素、コリンアセチル基転移酵素(ChAT)に選択的スプライシングによる亜型が存在することを明らかにしこの亜型(pChAT)に対する特異抗体を作製した。この抗体を用いてラットの全身の神経系を免疫組織化学的に検討したところ、pChATは副交感神経をはじめとする末梢のコリン神経に優位に発現することが判明した。また、従来、コリン作動性と考えられていなかった一次感覚神経系においてもpChAT陽性細胞を認め、コリン作動性一次感覚神経系の存在を示唆した。さらに、pChAT陽性神経は一部の中枢神経系(網膜神経節細胞と一部の視床下部ニューロン)にも存在することを明らかにした。これら新しく同定されたpChAT陽性神経含有組織についてRT-PCR解析を行い、pChAT型mRNAの発現を確認した。以上の成果は従来のわれわれのコリン神経の理解に対して見直しを迫るものである。 2.神経細胞mRNAの選択的スプライシングの人工制御 上記のデータをもとに、ラット網膜を対象としてChATをpChATへ人工的に変換する方法の確立を試みた。pChAT型mRNAはChAT mRNAのエクソン6-9を欠如する。したがって、第5イントロンと第6エクソン接合部(I5-E6接合部)、I6-E7接合部、I7-E8接合部、I8-E9接合部に対して、20塩基のホスホロチオエート・アンチセンスオリゴヌクレオチド(S-オリゴ)を作製し、ラットの眼球内に投与した。このうち、I7-E8接合部S-オリゴによって、一部のアマクリン細胞がpChAT陽性となり、RT-PCRによってもpChAT型mRNAの発現亢進の可能性が示唆された。以上の所見はスプライシング変換に対するS-オリゴの有用性を示唆するものであるが、通常型のChATの発現は殆ど変化が認められず、今後詳細な定量的解析が必要である。
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