研究課題/領域番号 |
10480225
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
澁木 克栄 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40146163)
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研究分担者 |
菱田 竜一 新潟大学, 脳研究所, 助手 (90313551)
工藤 雅治 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (80153310)
隠木 達也 新潟大学, 脳研究所, 助手 (10303166)
酒井 雅史 新潟大学, 脳研究所, 助手 (30251846)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
2000年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
1999年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1998年度: 5,200千円 (直接経費: 5,200千円)
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キーワード | 聴覚野 / 長期増強 / 長期抑圧 / アセチルコリン / ラット / 時間情報処理 / 大脳聴覚野 / ムスカリン受容体 / M電流 / 二音弁別テスト / カルシウム / 一酸化窒素 |
研究概要 |
我々はラット大脳聴覚野切片標本におけるシナプス可塑性を解析し、その機能を同定することを目指した。まず、聴覚野長期抑圧(LTD)について研究した。その結果錐体細胞のLTDは内側膝状体からのシナプスではmGluR依存性、他の皮質からの線維や皮質内水平結合ではNMDAレセプター依存性であることが判った。さらに聴覚野切片を用い、秒単位の入力時間差が時間依存性LTPを起こすこと、及びLTPの時間依存性における内因性アセチルコリンの関与とその作用機構を明らかにした。脳切片標本での結果と行動学的な時間の順序弁別能との関連を解析し、両者の結果が良く合うことが判った。このことは聴覚野LTPの時間依存性が実際に動物の聴覚入力の時間情報処理に用いられていることを示している。大脳皮質において一次感覚野と高次領野の神経結合は双方向的であり、逐次的な情報処理に沿った神経活動の伝播とこれに逆行する伝播が共存する。我々は通常は聴覚野から18a野へと神経活動が伝播し易いが、低濃度のBicucullineで多シナプス性活動を起こり易くして実験を行うと、V層を介する18a野から聴覚野への神経活動の逆行性伝播が活動依存的に出現することを見出した。 本研究では脳切片での可塑性を詳しく解析し、それぞれの可塑性を特異的にブロックする条件を見出すこと、さらにこのとき聴覚機の行動学的解析においてどの要素が阻害されるかを解析することを目指した。聴覚野LTPの時間依存性を見出し、その薬理学的な特徴を詳しく解析したこと、こうして調べ上げた薬理学的な操作を行動学的な方法によって確認できたことによって本研究の目的の少なくとも一部は達成されたといえるであろう。聴覚野とその周りの周辺領野との結合の解析が出来たこと、及びこれが非常に興味深い可塑性を示したことは全く予想していなかった結果であり、今後の研究の発展が期待できる。
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