研究分担者 |
貞弘 光章 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80250778)
松本 健郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30209639)
田林 晄一 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90142942)
秋元 弘治 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (60302139)
大橋 俊朗 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30270812)
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研究概要 |
大動脈瘤壁の力学特性を調べ,患者の大動脈瘤形状を非侵襲的に計測し,壁の変形挙動及び壁内の応力解析から大動脈瘤発生後の危険因子の把握と破裂診断のためのモデル作りを目的として,以下の成果を得た. 1.大動脈瘤の力学的性質の計測と3次元有限要素モデルの構築 新たに作製した二軸引張試験機を用いて手術時に大動脈瘤患者から切除した組織片の力学的性質を計測した.その結果,正常と思われる組織に比べて病変部では弾性係数が高い値を示し,いずれも硬化している現象が明らかとなった.弾性係数が高い値を示した大動脈瘤組織ほど大きな力学的異方性が認められた. MRI画像に基づく大動脈の3次元の有限要素モデルを完成させ,薄肉を仮定した解析により大動脈壁内の応力とひずみ分布を求めることができた.この結果,応力は大動脈弓部の前・後壁に集中しており,この部分に大動脈瘤が形成される例が多いこととよく一致していた.この基本モデルに動脈瘤を種々の形状と位置を想定して解析したところ,瘤の形成位置によって応力の集中の程度も異なることが明らかとなった. 2.大動脈瘤患者の壁運動の解析ならびに大動脈瘤の力学的性質の推測と破裂予測モデルの構築 シネMRI画像において心電図同期tagging法を用いて拡張期末期から収縮期にかけて動脈壁内腔と外壁の動きを計測し,大動脈瘤近傍に生じるひずみ,局所応力を求めた.解析の結果,健常者では弓部前壁あたりで大きなひずみを生じ,大動脈瘤患者では大動脈瘤形成部位あたりで外側に大きく膨らむような変形をすることが明らかとなった. 以上の結果に基づき,今後MRI画像から有限要素モデル構築までの迅速化,利便性を考慮したシステムの改良と基礎データを積み重ねていく予定である.
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