研究課題/領域番号 |
10551012
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
教育学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
森田 洋司 大阪市立大学, 文学部, 教授 (80086181)
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研究分担者 |
秦 政春 大阪大学, 人間科学部, 教授 (20117047)
若井 彌一 上越教育大学, 学校教育学部, 教授 (60004123)
星野 周弘 帝京大学, 文学部, 教授 (50297115)
添田 晴雄 大阪市立大学, 文学部, 助教授 (30244627)
滝 充 国立教育研究所, 室長 (50163340)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
11,000千円 (直接経費: 11,000千円)
1999年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
1998年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
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キーワード | いじめ / いじめ防止 / いじめ対策 / 問題行動 / 指導マニュアル / 校内暴力 / 生徒間暴力 / 生徒指導 / マニュアル |
研究概要 |
次のような点が今年度の知見として明らかになった。 まず、第1に、本研究によるいじめの国際比較調査の結果によれば、日本は欧米に比べて被害経験率はきわめて低いが、その内容を比べると、長期にわたって週に幾度となくいじめられている児童生徒の割合がもっとも高率である。このことは、いじめの被害の発生は少ないものの、一旦発生すると歯止めがなくエスカレートしていう傾向が欧米に比べて強いことを示している。加えて、森田の四層構造論の「傍観者」と「仲裁者」の現れ方が、ヨーロッパ諸国と日本とでは全く異なっている。日本では、小学生から中学生へと発達していくにつれて、は「傍観者」は増え続け、「仲裁者」は減り続けて行くが、ヨーロッパでは、中学生になると「傍観者」は減少し、「仲裁者」が増える傾向がみられる。 第2に、これらの知見は、いじめはいずれの国や年齢段階でも発生するが、いじめの対策および防止プログラムにとって重要なことは、いじめの当事者以外の周囲の人々からの抑止力がきわめて大切な役割を果たすということである。 第3に、この抑止力は、集団や仲間の「共同性」に基づいて発動されるものであり、児童・生徒にこうした「共同性」の意識を形成していくことがいじめ防止や発生しているいじめへの抑止力となる。 第4には、こうした抑止力の弱まりは、日本社会の「私事化」の動向に根ざしており、この「私事化」の歪みと捉えることができる。したがって、この歪みは、自己の欲求の充足価値が肥大化したところに現れたものであり、この歪みを是正するためには、「個我」の確立根ざした「私事化」への移行を日本社会として図ることが必要である。
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