研究課題/領域番号 |
10554006
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
旭 耕一郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (80114354)
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研究分担者 |
酒井 健二 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (40272661)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
12,900千円 (直接経費: 12,900千円)
1999年度: 7,200千円 (直接経費: 7,200千円)
1998年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
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キーワード | 超冷中性子 / 電気双極子モーメント / 弱相互作用結合定数 / 磁場・磁気モーメント相互作用 / 断熱通過スピン反転 / 磁気減速 / パルス中性子源 / 交替磁場 |
研究概要 |
中性子は電気的中性のため空間に保持することが困難であるが、これをE_<cr>〜2×10^<-7>eV以下の超低エネルギーにまで減速すると特定の物質表面で全反射されるようになるため、これを容器に蓄積し、電器双極子モーメントや弱相互作用結合定数の測定など重要な基礎物理実験に供することができる。しかしこのような超冷中性子(UCN)は従来、冷中性子源のBoltzmann分布(3meV程度にピーク)の裾部分から切り出すためその生成量は少なく、これを利用した実験に大きな制約を与えてきた。本研究は、これを解決するため磁場勾配中の磁気モーメントに働く並進力を利用し、スピン反転操作によってその向きを制御して連続的な中性子減速を実現する新しいUCN生成法の開発を目指すものである。 まず計算機シミュレーションによって本方法の詳細な検討を行なった。最高磁場4.95T、最低磁場0.59Tの空間交替磁場を実現する超伝導ソレノイドセクションを設計し、米国LANSCEの冷中性子ビームを出発点に想定して、固定減速セクション100段と、スピン反転操作を時間的に断続する可変減速セクション60段を用いた減速過程を数値計算によって評価した結果、種々の損失を考慮しても超冷中性子貯蔵密度2.2×10^3個/cm^3(現在世界で実現している最高密度の約70倍に相当)が実現可能とわかった。 次にプロトタイプとして1段の磁場とスピンフリップによる減速セクションの設計・製作を行ない、京都大学原子炉実験所の中性子タービン施設において、減速効果検証実験を開始した。1段プロトタイプの小さな減速効果を検出するためタービンで得られる超低エネルギー中性子を入射粒子とし、これを単色化したのち減速セクションを通過させ、その後の速度をフィルター法によって測定する方法を採った。まずSi半導体検出器にLi converter箔を装着した中性子検出器を開発して、従来の^3Heガスカウンターに比べS/V比が約2倍よい中性子検出が可能となった。次にこれを用いて、直角に曲げたステンレス(臨界速度v_<cr>=5.48m/s)導管とGe箔フィルターを用いて、入射中性子を単色化出来ていることを、Ge箔およびCu箔のフィルターによる計数差分法で確認した。こうして速度範囲v=4.27〜5.48m/sの中性子が強度0.52mcpsで得られ、今後に予定している上流導管の改良と高周波磁場印加実験によって減速効果の検出が充分可能なことがわかった。
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