研究概要 |
本研究では,マイクロ波・ミリ波領域において周波数掃印が可能な電気伝導度測定システムの構築を目指した。具体的には,(1)導波管内に試料をおき,非共振の状態での測定を行う,あるいは,同軸ケーブルを用いて測定を行う(2)試料に対する電磁場の方向をそろえ,また,電磁場の強度を上げるため,周波数可変なハイブリッド型空洞を用いた共振測定の二つの方法を研究開始時点では計画した。研究が二年目に入り,進捗状況を鑑みて,(1)の方法に的を絞り研究を続けた。研究機関が終了した現時点での成果は以下のとおりである。 (1)1MHz-3GHzまでの,同軸ケーブルを用いた連続周波数スイープ測定システムを完成させた。Referenceの試料での測定を行い,伝導度が正しく得られることを確認した。(2)同システムを用いて,磁場中のBSCCO試料の伝導度測定を行ったが,S/N比が十分でなく,目的のデータ得るに至っていない。今後,ネットワークアナライザーの受信部に増幅器を入れるか,薄膜試料を得ることによって,試料の生抵抗をあげることにより,ベクトル連続周波数掃印による電気伝導度測定の完成を目指す。(3)YBCO試料の複素伝導度を複数の周波数において測定することに成功し,ボルテックスコアの粘性係数を決めることに初めて成功した。これにより,同系のボルテックスコア-は古典的であることが示された。BSCCO系についても同様の測定を行い,広い組成領域にわたり,同様の結論を得た。このことから,高温超伝導体コア-の古典的性格が極めて普遍的であることが示唆された。
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