研究分担者 |
鍵山 恒臣 東京大学, 地震研究所, 助教授 (50126025)
平林 順一 東京工業大学, 理学部, 教授 (30114888)
岡田 弘 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40000872)
清水 洋 九州大学, 理学部, 教授 (50178985)
浜口 博之 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20004385)
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研究概要 |
平成10年11,12月に行われた次の2つの観測実験データの解析し,阿蘇火山中岳地下でのマグマ熱水系の基礎的な構造を明らかにした. 人工地震探査観測および初動の読みとり-:読みとり作業は,人工地震探査での豊富な経験を踏んだ研究者によるワーキンググループが構成され,複数の読みとり値を個々に検討して,最も妥当な値を選定した.しかし,中央火口丘一帯は複雑な地質構造をもち,とりわけ現在活動中の中岳火口近傍はその最たるところで,また,中岳火口は現在活動中で,常に火山性微動が発生し,このため,振幅エネルギーが小さいと初動の読みとりは,極めて困難であった.中岳火口から古坊中にかけて,明らかに初動の走時に異常をみられ,古坊中から草千里付近で反射波と思われる後続相が認められた. 地震波速度構造-初動到来時刻による屈折法解析-:解析は,「はぎ取り法」で速度構造を求め,2次元地震波波線追跡法によって検証し,従来の阿蘇火山地域の速度構造モデルの比較検討を行った. 地震波反射面分布について:波形の後続波-反射波の走時を用いて反射法的な解析処理を行い,中央火口丘深部の地下構造の推定を試みた.草千里から古坊中にかけて深さ約3.7kmに非常に明瞭な反射波がみられた.この結果は,草千里地下約6kmを中心とした半径2-3kmの以前から提唱されている阿蘇火山のマグマ溜まりのヘッドからの反射波とも考えられる. 火山性微動の観測について:火山性微動が定常的に発生している中で行われた今回の観測では,火山性微動の観測も大きな目的であった.火口周辺に展開した稠密な観測点網で多くの火山性微動が観測された.火山性微動の特徴と伝播特性から発震機構についてまとめた.高周波の火山性微動の発生震源位置が第1火口直下で,低周波のそれはダブルカップル成分が含まれていることがわかった. 阿蘇中岳のおける反射法地震探査:制御震源であるミニバイブレータ型震源装置を用いて,1998年12月中旬に行われた観測では,現在活動中の中岳火口周辺,特に西側の詳細な地下構造と速度構造を解明するために行われ,火口の西側地域は,火山性微動の震源域と推定されているので,中岳火口を形成している新期山体と古期山体との境界が反射面として観測された. これらの結果は,報告書として印刷され配布された.
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