研究概要 |
彗星の進化を明らかにするために,実際の彗星を構成している氷微粒子と同じ大きさ,同じ化学組成のアモルファス氷微粒子を用いた彗星核再現実験装置を開発した. (1)これまでのアモルファス氷微粒子の作製法と全く異なる新しい考えによるアモルファス氷微粒子の作製法を考案・実用化した: (i)10Kで厚いCO薄膜を蒸着し,その上に薄いアモルファス氷薄膜を蒸着する.蒸着終了後,基板の温度を上げると,COの蒸発温度付近でアモルファス氷薄膜の破壊が起こり,アモルファス氷微粒子が生成される. (ii)CO_2とH20の混合ガスを10Kで同時に基板に蒸着する.蒸着速度が大きい時に,薄膜の連続的な破壊が蒸着中でも進行し,CO_2とH_2Oを含むアモルファス氷微粒子が連続的に生成されることを見いだした. (2)以上の方法を取り入れた「彗星核再現実験装置」を開発し,純粋なアモルファス氷微粒子または不純物を含むアモルファス氷微粒子を作製・回収し,大量に堆積させることに成功した.堆積したアモルファス氷微粒子表面に紫外線レーザーを照射することによって,彗星核からのジェットの再現に成功した.この装置では,さらに,高速度ビデオカメラを用いて,模擬彗星核表面から飛び出してくる氷微粒子の運動の解析が可能になった. (3)完成した「彗星核再現実験装置」を用いて,シミュレーション実験を行った.模擬彗星核の熱伝導率,破壊強度の測定に成功した.
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