研究分担者 |
松浦 良樹 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (90029968)
宮下 哲 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (00219776)
DURBIN Steph (DURBIN Stephan Duan) 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (10301045)
長谷川 和宏 味の素株式会社, 発酵技術研究所, 研究員
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研究概要 |
1.結晶の「磁場配向」について リゾチーム結晶は,溶液中を沈降しながら成長するに伴いより大きな磁気エネルギーを得ることができるようになるため,成長と共に徐々に磁場配向しやすくなる.そのため,磁場による結晶の配向率は,磁場の強さのみならず,結晶の成長速度および容器の深さに大きく依存することがわかった. 2.結晶の「成長速度」に及ぼす磁場効果について 強磁場下用の透過光型光学顕微鏡を設計・作製し,11Tの磁場下でリゾチーム正方晶系結晶の成長過程を0.5μm解像度でその場観察することに成功した.その結果,強磁場下では結晶の成長速度が明らかに減少することを明らかにした. 3.NaCl水溶液中の「対流」の抑制について 10Tの均一磁場下でNaCl水溶液中の密度対流をその場観察した.その結果,「水溶液」の場合においても均一磁場によって対流が顕著に減少することを世界で初めて見出した. 4.磁場によるタンパク質結晶の「品質」の向上について 10Tの均一・定常磁場下で育成したリゾチーム斜方晶系結晶のロッキングカーブを測定した.その結果,強磁場下で結晶を育成すると,結晶の「品質」が格段に向上し高分解能の回折データが得られること,X線損傷をうけにくくなること,などを世界で初めて明らかにした. 5.「高圧力」という磁場以外の外場が及ぼす影響について 高圧力下でリゾチーム正方晶および斜方晶系結晶の溶解度を測定し,水和・脱水和の体積変化を求めた.また,高圧力下では結晶の表面エネルギーが増加するために成長速度が減少することを見出した. 6.「微小重力」という磁場以外の外場が及ぼす影響について 微小重力下での密度対流の発生がグラスホップ数で適切に予測できること,および水のマランゴニ流の流速は,気液界面形成後110-15分で汚染のために1/10以下に減少することを見出した.
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