研究課題/領域番号 |
10555012
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
応用光学・量子光工学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
柳原 美広 東北大学, 科学計測研究所, 助教授 (40174552)
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研究分担者 |
江島 丈雄 東北大学, 科学計測研究所, 助手 (80261478)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 13,000千円)
1999年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1998年度: 11,900千円 (直接経費: 11,900千円)
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キーワード | 顕微鏡 / 軟X線蛍光 / シュワルツシルト鏡 / 多層膜 / 直入射 / 結像 |
研究概要 |
軟X線蛍光顕微鏡は軟X線または電子線を試料に照射し、それに含まれる原子から放出される軟X線蛍光を多層膜を蒸着したシュワルツシルト対物鏡で結像することによって、原子の種類の情報も含んだ試料局部の拡大像を得る新しい方式の顕微鏡である。本研究は空間分解能0.5μmの軟X線蛍光顕微鏡を開発し、同方法が原理的に優れていることを実証するのを目的とした。拡大率50倍のシュワルツシルト対物鏡にMo/Si多層膜を蒸着して搭載した軟X線蛍光顕微鏡で、Siを含んだ試料を電子線励起で観察したところ、Siの分布を示す顕微像を得ることができた。Mo/Si多層膜の狭帯域反射によってSi原子からのSiL蛍光だけを感度よく分別して結像するという本顕微鏡の基本的な特徴が実証されたものである。多層膜対物鏡は軟X線と同じように可視光も反射する。この性質を利用して、テスト試料を可視光で照射して可視用のCCDカメラで撮影した結果、0.7μmの分解能が確認できた。これはほぼ可視光の回折限界に達しており、本顕微鏡が高精度で調整されていることを示した。軟X線の回折限界は可視光より小さいため、空間分解能の目標値0.5μmの達成が期待されたが、最終的には1.5μmから2.0μmが確認されるに留まった。しかし、波長の短い軟X線で0.7μmを越えられなかったのは軟X線検出器自身の分解能不足が原因であった。この点については、拡大率のもっと高いシュワルツシルト対物鏡を採用するか、高分解能撮影が期待できるX線フィルムの採用が考えられる。今後は実際の生物試料や鉱物試料の観察を通して本顕微法の有用性が実証されることが期待される。このように、本研究は検出器の分解能という副次的な要因で制約を受けたが、目標とした基本性能を概ね確認して終了することができた。
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