研究概要 |
社会の重要なインフラ設備である上・下水道管などの配管の保守点検のために,管内検査用ロボットの開発が求められている.このために著者らは,管軸に対して斜めに取り付けたタイヤを管内壁に押し付けつつ本体を回転させるのみで細管内を走行できる「ねじ原理」マイクロロボットを開発してきた.本研究では,このロボットの実用化を目指し,段差や分岐などの管路の障害を克服して管内視覚検査が可能なロボットを開発することを目的とし,以下の研究成果を得た. (1)駆動ユニットに2種類のタイヤ取付アームを配置し,歯車を介して各アームをユニット間で連動させることにより同心および偏心した段差を持つ管内を走行可能な段差通過機構を考案した. (2)タイヤの大きさと段差の高さおよびそれを乗り越えるための駆動トルクとの関係式を導き,基礎実験により妥当性を実証した. (3)内径100mmから75mmの同心および偏心した段差を持つ管内を走行可能なマイクロロボットを設計・製作し,段差通過が可能であることおよび段差を含む長距離走行時の走行特性を実験により明らかにした. (4)2つのDCモータとユニバーサルジョイント,そして3重の円筒構造を有することにより,ヘッド部が非回転かつ2自由度の首振り運動可能な,Y字分岐管に進行できるヘッド駆動機構を考案した. (5)試作したヘッド駆動機構により,首振り角度15度以上で30度の分岐管を通過走行できること,および分岐管走行時の駆動トルクと進行速度の特性を実験により明らかにした. (6)段差乗り越え機構をもつ駆動ユニットの中心軸を2重構造とすることによりCCDカメラ部が管に対して非回転となるCCDカメラ搭載機構を考案し,試作した. (7)管径75mmと100mmの管を偏心させて接続した段差管に対して管内通過実験を行った結果,段差管内を通過しても非回転の鮮明な管内映像を撮影することができた.
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