研究概要 |
平成10年度の研究により,マルチ並列配置小形マニピュレータ群から構成される極微機械要素用表面実装システムを提案し,その試作および実験を行った.そして,大変形ヒンジとリンクの一体化パンタグラフ機構[動作領域を50mm×40mmと定め,代表寸法を100mm]を8台以上並列配置することで装置小形化の可能性があることを示した.そこで,本研究では,平成10年度の研究では実現していなかった極微機械要素高密度実装システム用パンタグラフ機構の出力節の姿勢一定化のための研究を行ったものである.まず,従来のパンタグラフ機構内に二つの平行四辺形ループが加わるようにリンクを付加することにより,出力節の姿勢の一定化を図ることとし,そのための付加すべきリンクの構成を示している.ついで,出力節の姿勢一定化が実現可能な16種類の新しいパンタグラフ機構の中から,各リンク間の相対角変位および干渉を考慮して1種類のパンタグラフ機構を選定するとともに,機構の運動シミュレーションを行い,その機構内にある各リンクおよび2方向・3方向ヒンジの形状寸法を設計している.この設計されたパンタグラフ機構の入出力変位関係を理論的に明らかにするとともに,パンタグラフ機構の材料となる樹脂の選定を行っている.つぎに,ヒンジ部における各リンクの先端角を考慮して金型の形状寸法を決定し,小形射出成形機および金型を用いてポリプロピレンを材料とするヒンジとリンクの一体化パンタグラフ機構を製作している.さらに,製作したパンタグラフ機構について出力節の姿勢角を実験により求め,パンタグラフ機構のピックアンドプレイス作業時における出力節の姿勢角誤差を求めた結果,ピック作業時で最大1.42×10^<-2。>,プレイス作業時で0.54×10^<-2。>であることがわかり,提案したパンタグラフ機構の出力節の姿勢が一定となることを確認し,実用に供しえることを示している.
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