研究概要 |
本研究では,絶対位置情報の車両運動制御への利用性を検討するために,DGPSを利用した絶対位置情報の推定手法の構築と絶対位置情報に基づく車両運動制御系の構築を行った.DGPSのみによって獲得した絶対位置情報には,精度,遅れ,サンプル周期の問題があり,そのまま車両運動制御に利用することは困難である.そこで,DGPSからの絶対位置情報と車両運動状態量を情報を統合することにより,車両運動制御に利用するために十分な精度とリアルタイム性を有する絶対位置および車両方位角の推定手法を提案した.この手法により20[Hz]のサンプルレートで遅れのない絶対位置および車両方位角情報が獲得できることをシミュレーションおよび実験で明らかにした. また,獲得した絶対位置情報を車車間通信で送受信し,通信遅れの影響を補償することにより周囲車両の高精度な相対位置情報が獲得できることを実験で明らかにした.絶対位置情報を利用した車両運動制御として,目標コースに自動追従する操舵制御システムの開発を行った.この制御の特徴は,追従対象の目標コースが書きかえ可能なデジタルデータとして記述されていることである.この特徴により,進路変更や車線変更,障害物回避の要求に応じて自由に目標コースを変更することが可能である.これは,自動運転システムの横方向制御において,進路変更,車線変更,インシデントに対処する際の融通性を向上するものである.実験により15[cm]以下の精度コース追従ができることを明らかにした. またインフラからコース上の障害物情報を送信することにより,車両が目標コースを適切に変更して障害物を回避する制御系を構築し,その有効性を実験により明らかにした.
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