研究分担者 |
中村 光一 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (10024283)
椚座 圭太郎 富山大学, 教育学部, 助教授 (30225180)
広岡 公夫 富山大学, 理学部, 教授 (30029467)
三宅 幸博 フラクリジャパン社, 研究部長
河崎 善一郎 大阪大学, 工学部, 教授 (60126852)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
2000年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1999年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1998年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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研究概要 |
従来,大気物理学・放電工学などの分野から研究が行われてきた雷現象は,大地にも電磁気的影響を及ぼすことから,大地からの研究も可能である.雷撃電流の強力な磁場により大地は帯磁して残留磁化を獲得し,雷電流の化石として数十年後も残る.本研究では,大地の帯磁現象を用いる雷撃電流や土中放電の調査を考えた. 電力送電の鉄塔落雷は頻繁に生じている.雷撃電流や迷走電流による通信,コンピュータ,製造分野での被害も多い.こうした落雷時の電流による被害の防止と削減のためにアース配線の埋設は必ず施工されている.その際に電流がどの程度の土中深部まで流れるか,大地を放射状に一様に流れるかは必要な情報であるが,有効な調査手段が無いため,アースの施工地点や深度は試行錯誤で決められている現状である. 本研究では,従来あまり調査がなされていない"雷撃電流の大地内伝播の特性"を研究するため,残留磁化(帯磁現象)を利用する研究方法の開発を第一の目的とした.一瞬の雷撃電流の化石として長期間保存される残留磁化を手段とする雷撃電流の調査は,自然雷,ロケット誘雷,IG実験での研究を通して有用性が検討され,大地内伝播の情報源としてアース施工の効率化にもつながると判明した.落雷時にはまた,大地が急激に加熱される過程も考えられる.岩石磁気の研究は,熱起源の残留磁化の調査でもあり雷撃時の熱履歴の検討に役立つことは,自然雷で生じた雷管石や考古遺跡の落雷跡において実証できた. 本研究の残留磁化を利用する研究は,雷の電磁現象を固体地球の電磁気感応からみる研究であり,18世紀のフランクリンの実験以来,雲,大気を対象に進められてきた雷研究を大地から探る新たな分野を開く研究である.今後は,より実用的な研究として開発した研究方法をさらに進める積もりでいる.
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