研究概要 |
「秘密の存在を気づかせないセキュリティ技術(steganography)」の一つとして,我々の研究室では情報秘匿容量の大きなBPCS-Steganographyの原理を開発した.本研究では,このBPCS-Steganographyの実用化に向けて具体的なソフトウエアのプロトタイプの作成および技術的検討を行う.具体的な研究活動と得られた結果は,以下の通りである. 1.カラー画像をダミーとする電子メール添付用の埋込み・抽出ソフトウエアのプロトタイプ化 Windows上で動作する,扱いやすいBPCS-Steganography電子メール用ソフトウェアツールを作成した.以前のバージョンでは特定の条件でハングアップする等のバグがあったが,ここで作成したツールは安定して動作する. 2.オーディオデータをダミーとする埋込みソフトの検討と試作 振幅により埋め込み方法を制御するというアプローチにより低ノイズで高埋め込み量を実現できた.この時,オーディオダミーデータとしてWAVフォーマットデータを用いた.また,Windows上で動作する,扱いやすいソフトウェアも開発した. 3.カラー印刷出力画像をダミーとする新たなステガノグラフィ技術の検討 容量こそ小さいものの,印刷された画像から埋め込まれた情報を取り出すことができた.具体的には,まず情報が埋め込まれた画像(顔画像)をカードプリンタからプラスティックカードのに印刷する.そして,プラスティックカード上の画像をスキャナで読み取る.その後,計算機上で抽出処理を行う. 今後の研究課題として,上記課題3は特に興味深い.もし埋め込み容量をさらに増やすことができれば,種々の産業へその技術が応用可能となる.例えば,身分証明書の顔写真に秘密情報が埋め込めることになる.
|